第3133回 新年に本格化したフランスカップ (1) パリサンジェルマン、シャトールーとの19年ぶりの対戦を制す

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■例年通り、新年に1部勢が参戦するフランスカップ

 前回までの本連載では年末に再開したフランスリーグについて紹介してきたが、国内リーグも欧州カップも秋開催のワールドカップによってその日程は大きな影響を受けた。ところが、今回から紹介するフランスカップは1部のチームに関しては例年通りの日程となる。
 フランスカップは秋から始まり、チームのレベルによって参戦するステージが異なるが、2部のチームは7回戦、1部のチームは9回戦に相当するベスト32決定戦が初戦となる。例年、7回戦は11月、8回戦は12月に行われ、ベスト32決定戦は新年の初めに行われる。この2年ほど、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、昨年はベスト32決定戦が12月に行われたが、今年はベスト32決定戦は新年最初の週末と従来通りのスケジュールで行われた。ただし、8回戦までは日程が前倒しになり、ワールドカップ開幕とほぼ同じ11月19日と20日に8回戦が行われた。

■下部リーグ勢が虎視眈々と狙うジャイアントキリング

 第3128回の本連載で紹介した通り、フランスのクラブに所属する選手でワールドカップに出場したのは57人に上るが、この中には2部のクラブに所属する選手が2人いる。セネガルのフォーモズ・メンディがアミアン、チュニジアのアリ・アブディがカーンに所属している。
 8回戦まで終えた時点で2部勢は20チーム中12チームが勝ち残っている。また、6部リーグに相当する地域1部リーグからも6チームが勝ち残り、海外県・海外領土のチームも1チームが残っている。
 ベスト32決定戦の見どころはジャイアントキリングである。ただし、これまでのフランスカップではリーグ戦の前半を終えて年末年始の休暇に入ってバカンス明けの1部リーグのチームを地方都市の満員の小スタジアムで待ち構えていた下部のチームが勝利するというパターンであった。しかし、今年の場合は年末にリーグ戦が開幕し、フランスカップのベスト32決定戦の直前に実戦を2試合重ねており、これまでとは勝手が違うが、番狂わせを期待するのがファンというものである。
 特に今回はワールドカップの直後とあって、リーグ戦同様にワールドカップに選手を送り出したチームに注目が集まる。

■ミッシェル・デニゾ会長のシャトールー、パリサンジェルマンと19年ぶりに対戦

 その代表がパリサンジェルマンであろう。パリサンジェルマンの相手はナショナルリーグのシャトールーである。シャトールーはパリサンジェルマンの兄弟クラブと言ってもよいであろう。2021年からミッシェル・デニゾが会長となっている。1990年代にはパリサンジェルマンの会長としてクラブを黄金時代に導いた。また、時期を前後してシャトールーの会長も務めており、今回は2回目の会長となる。パリサンジェルマンのリザーブチーム的な位置づけであり、1部でプレーしたのは1997-98シーズンのみである。その後は2部や3部に相当するナショナルリーグに在籍している。
 パリサンジェルマンとシャトールーの対戦はスタッド・ド・フランスで行われた2004年のフランスカップの決勝以来のことであり、この時のシャトールーの会長はデニゾであり、注目を集めたが、本連載第334回で紹介している通り、パウレタのゴールでパリサンジェルマンが勝利し、今世紀になって初めてのタイトルを獲得した。それから19年、パリサンジェルマンはカタール資本、シャトールーはサウジアラビア資本となるが、シャトールーの会長はデニゾが務め、ユニフォームの色はパリサンジェルマンと同じ青と赤である。

■リオネル・メッシ不在のパリサンジェルマン、苦戦しながらも勝利

 パリサンジェルマンは1月1日のリーグ戦でRCランスに敗れており、メンバーを大幅に変えてこの試合に臨む。シャトールーはこの時点でリーグ14位と不調であるが、19年前の雪辱を満員のファンが詰めかけたホームで果たしたい。
 パリサンジェルマンのリオネル・メッシはまだ復帰せず、ウーゴ・エキティケがこの日も代役を務める。その20歳の若者が13分に先制点を奪う。その後もパリサンジェルマンが優勢に試合を進めるが、追加点を奪えず、37分には同点に追いつかれてしまう。
 後半も立ち上がりにシャトールーのシュートがポストをたたき、パリサンジェルマンは苦戦する。しかし、78分にスペイン代表としてワールドカップに出場したカルロス・ソレールが勝ち越し点、後半アディショナルタイムにはフアン・ベルナトが追加点を入れ、パリサンジェルマンが3-1と勝利したのである。(続く)

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