第3602回 2025-26フランスリーグ開幕(1) 自動昇格したロリアンとパリFC

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■ビッグゲームが目白押しだったシーズンオフ

 2025-26シーズンのフランスリーグは8月15日に開幕した。前シーズンの最終節が行われたのは5月17日、ほぼ3か月のオフがあったが、その間にプレーオフを含む入替戦、フランスカップ決勝、チャンピオンズリーグ決勝、クラブワールドカップ、UEFAスーパーカップに加え、UEFAネーションズリーグのファイナルステージが行われ、フランス代表ならびに多くのフランスリーグに所属する選手が出場した。このように振り返ってみるとオフというにはふさわしくない、常にオンの状態が3か月続いていたようなオフであったが、それでも新しいシーズンを迎えると心の高まりを感じる。

■シーズン中に100周年を迎えるロリアン

 新シーズンで注目を集めるのは2部から昇格してきたチームである。本連載の第3556回で自動昇格となった2部優勝のロリアンと2位のパリPCについて紹介し、プレーオフと入替戦を勝ち抜いたメッスについては第3557回と第3561回で紹介した。
 ロリアンは1部への初昇格は意外と最近のことであり、1998年である、それ以降2部に降格し、4回1部に昇格した。今回は4回目の2部降格であったが、初めて1シーズンで1部に復帰した。クラブの創立は1926年4月、すなわち今シーズン中に100周年を迎える歴史を誇るクラブであるが、最初にプロ化したのは初めて2部に昇格した1967年、その後下位リーグに陥落し、アマチュアチームとなって5部相当のリーグまで落ちたが、1995年に2部復帰、それ以降はプロチームとして2部以上の地位を保っている。新シーズンは1部での17シーズン目となる。リーグ戦でのこれまでの最高順位は7位(2009-10シーズン)というのはフランスカップでの好成績(2002年に優勝、2013年に準決勝進出)と比較すると意外な感じがする。昨季22得点をあげ、2部の得点王に輝いたイリ・ジュニア・クールピがイングランドのボーンマスに移籍した穴を誰かが埋めることができるだろうか。

■パリサンジェルマンの基となったパリFC

 昨季2部で2位となったパリFCは最も注目を集める昇格組である。パリサンジェルマンの創成期を語るにあたり必ず出てくる名前がパリFCである。パリFCは元々は、1960年代末にパリのクラブが1部から消えたのを機にパリの財界が1969年に創設したクラブである。そして1970年にちょうど2部にいたサンジェルマン・アン・レーにあるスタッド・サンジェルマンと合併し、パリサンジェルマンとなる。パリサンジェルマンは1部に昇格、パリ財界の目論見のとおり、花の都のパリにふさわしいクラブになるかと思われたが、パリ市がサンジェルマン・アン・レーにあるクラブには財政的な援助をできないと主張、これがもとで1972年にパリサンジェルマンはパリFCとパリサンジェルマンに分裂した。パリサンジェルマンはアマチュアチームとして3部降格、パリFCがプロチームとして1部に残った。

■パリサンジェルマンと入れ替わり、長い低迷期に入ったパリFC

 パリFCはデビューシーズンとなった1972-73シーズンは12位であったが、結局これがこれまでのクラブでの最高順位となった。1973-74シーズンは下から2番目の19位となり、2部に降格する。皮肉なことに、パリFCと入れ替わって1部に昇格したのがパリサンジェルマンであった。以来パリサンジェルマンは2部に降格することなく1部に在籍、現在の1部チームの中で最古参となる。
 パリFCは、1978-79シーズンだけ1部に復帰、18位のバランシエンヌと勝ち点で並んだが、得失点差で下から2番目の19位となる。このシーズンの2部グループAで首位になったグーニョンはプロクラブの資格を失い、1部昇格とならず、19位のパリFCは自動降格ではなく、入替戦に残留をかける。入替戦の相手は2部のグループAとグループBの2位同士のプレーオフに勝利したRCランスである。RCランスとの入替戦はホーム、アウエーともスコアレスドロー、結局PK戦でパリFCの2部降格が決まり、そこから長いトンネルに入る。パリFCは実に46年ぶりの1部復帰、1部での4シーズン目を戦うのである。(続く)

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