第611回 2008年欧州選手権予選開幕(5) シドニー・ゴブーの活躍でフランスが完勝

■ワールドカップ組が中心の両チームの先発メンバー

 ワールドカップ決勝の再戦となったフランス-イタリア戦、ワールドカップ以降の成績は、フランスが2連勝、イタリアは1分1敗と対照的な成績である。またチーム構成もフランスがワールドカップ組が中心であるのに対し、イタリアは大幅にメンバーを変えてクロアチアに敗れ、リトアニア戦では大量にメンバーを復帰させながらも引き分けに終わっている。その点で、両チームがどのような布陣でこの一戦に臨むのかが注目された。
 フランスの先発メンバーはGKはグレゴリー・クーペ、DFビリー・サニョル、ウィリアム・ギャラス、リリアン・テュラム、エリック・アビダル、MFはパトリック・ビエイラ、クロード・マケレレ、フランク・リベリー、フローラン・マルーダ、シドニー・ゴブー、FWはティエリー・アンリである。
 一方のイタリアの先発メンバーは、GKはジャンルイジ・ブッフォン、DFはジャンルカ・ザンブロッタ、ファビオ・カンナバーロ、アンドレア・バルツアリ、ファビオ・グロッソ、MFはフランコ・セミオーリ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、アンドレア・ピルロ、シモーネ・ペッロッタ、FWはアントニオ・カッサーノ、アルベルト・ジラルディーノという布陣である。7月12日の決勝戦に出場した選手はフランスは控えGKだったクーペとゴブーを除く9人、そしてイタリアは7人(ブッフォン、ザンブロッタ、カンナバーロ、グロッソ、ガットゥーゾ、ピルロ、ペッロッタ)であり、フランスの方がワールドカップ組に依存していることが明白である。

■リヨンで控えに甘んじるゴブーが先発、先制点

 フランスのメンバーはグルジア戦とほぼ同じであり、ルイ・サアに代わってゴブーを起用、そして攻撃陣はトップはアンリ1人、それを支える形で右にゴブー、中央にリベリー、左にマルーダと言う布陣となった。注目は所属クラブのリヨンでも試合出場がおぼつかないゴブーである。代表の試合に出場する選手が所属クラブでレギュラーの地位が保証されていないと言う例は、これまで国外のビッグクラブではあったが、フランス国内のクラブではこのリヨンが初めてのことであろう。これはリヨンが欧州レベルでも覇権を争うことができるクラブになったことを端的に示しているわけである。またフィールドプレーヤーとしてワールドカップの決勝のイタリア戦に出場しなかったのはこのゴブーだけである。
 そのゴブーが試合開始早々大きな仕事を成し遂げた。開始2分、マケレレからのパスを受けたギャラスがクロスをあげて、ゴブーが見事なボレーでゴールネットを揺らした。

■ジラルディーノのゴールで反撃するイタリア

 この試合2点目のゴールもフランスがあげた。18分にはマルーダが25メートルの距離からゴールを襲う。ブッフォンがこのシュートをはじき、こぼれたところに走りこんできて角度のないところからアンリが2点目を決める。代表通算37得点目となるアンリのゴールでスタッド・ド・フランスは歓喜する。
 一方、ジャチント・ファケッティに捧ぐこの試合で黒い喪章をつけたイタリアは、このままでは引き下がれない。20分にピルロのFKにジラルディーノがヘッドであわせて反撃のゴールを決め、1点差に詰め寄る。イタリアは惜しいチャンスが何度かあったがクーペのファインセーブに阻まれ、これがこの試合唯一の得点となった。

■光るフランスの攻撃的DFの活躍で連勝スタート

 フランスは後半に入って55分に3点目を決める。右サイドバックのサニョルのセンタリングにゴブーがヘッドでゴールに叩き込む。今シーズン、国内リーグではわずかに1分間しか試合に出ていないリヨンの控え選手がイタリアとの大一番で2ゴールを奪ったのである。
 さらに、振り返ってみれば、ゴブーの2得点を演出したのはいずれもDFの選手である。ギャラス、サニョルのセンタリングがゴブーのゴールを生んだ。まさにファケッティを思わせるフランスDF陣の攻撃参加であった。
 DF陣だけではなく、フランスはイレブン全体が非常にいい動きを見せて、イタリアに完勝、スタートダッシュをしっかりと決め、10月のスコットランド戦、フェロー諸島戦に臨むのである。(この項、終わり)

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