第783回 欧州選手権予選ファイナル(1) 3強が争う2つのチケット

■最終戦のウクライナ戦に勝利すれば本大会出場となるフランス

 昨年9月から続いていた2008年欧州選手権予選も11月21日に全日程が終了する。本連載でその都度紹介してきたが、現在のグループリーグの順位は1位フランス(勝ち点25、8勝1分2敗)、2位スコットランド(勝ち点24、8勝3敗)、3位イタリア(勝ち点23、7勝2分1敗)となっており、上位2チームが本大会出場のチケットを得る。11月17日と21日に試合が予定されているが、フランスとスコットランドは残り1試合、イタリアは残り2試合であり、フランスは21日、スコットランドは17日のみに試合を行う。フランスの残りの試合はアウエーでのウクライナ戦であり、この試合で勝てば、フランスは本大会出場となる。

■注目の一戦、スコットランド-イタリア戦

 しかしながら、最終戦を待つフランスにとって気になるのが、17日にグラスゴーで行われるスコットランド-イタリア戦である。スコットランドはこの試合で敗れるとその段階で3位に陥落し、残り試合がないため、フランスとイタリアが予選突破となる。一方、スコットランドが勝利すると、スコットランドは本大会出場が決まる。残り1つのチケットを勝ち点25のフランスと勝ち点23のイタリアが争うことになり、イタリアが勝利し、フランスが負けた場合のみ、イタリアが出場権を得る。このようにスコットランドにとっては地元で迎える最終戦は勝てば予選突破、負ければ予選敗退という大一番となった。

■該当チーム間での戦績では分が悪いフランス

 スコットランドとイタリアが引き分けに終わると、スコットランドはこの時点でフランスと勝ち点25で並ぶ。フランスが最終戦のウクライナ戦で敗れるとフランスとスコットランドは同勝ち点で日程を終了するが、同勝ち点の場合、まず優先されるのが該当チーム間の戦績である。本連載の読者の皆様もよくご存知の通り、フランスはスコットランドに連敗しており、フランスとスコットランドが同勝ち点で並んだ場合、スコットランドに軍配が上がる。そしてスコットランド-イタリア戦がドローの場合、イタリアの最終戦も考慮しなくてはならないが、イタリアの最終戦はホームでのフェロー諸島戦、もしこの試合でイタリアが引き分けるようだと、フランス、スコットランド、イタリアの3チームが勝ち点25で並ぶ。その場合3チームの間での直接対決の結果にゆだねられるが、スコットランドが2勝1分1敗でトップ、2位に1勝2分1敗のイタリア、フランスは1勝1分2敗で3位に落ちてしまうのである。もっとも、イタリアはホームゲーム、しかも相手はこれまで11戦全敗のフェロー諸島であることから、イタリアの勝利は確実であり、3チームが勝ち点で並ぶ可能性は低いであろう。

■十分な準備でウクライナ戦に臨むフランス

 いずれにせよ、フランスにとってウクライナ戦での勝利が自力でチケットをつかむ手段であることに変わりはない。フランスはこのウクライナ戦のために十分すぎる準備を行う。まず、11月8日に24人のメンバーを発表した。そしてその24人のメンバーは13日にクレールフォンテーヌに集合、早速練習を始める。フランスは17日には欧州選手権の試合がないが、金曜日の16日にスタッド・ド・フランスにモロッコを迎えて親善試合を行う。モロッコ戦終了後はクレールフォンテーヌに戻り合宿を続け、ウクライナ戦の前日の20日にベリジーにあるビラクブレー空軍基地から最終戦の舞台となるウクライナのキエフに向かうことになる。
 これまではクレールフォンテーヌで合宿してから他国へ向かう際はオルリー空港を使用することが多かったが、空軍基地を使うことからもこの試合にかけるフランスの意気込みがうかがわれる。また、これはベリジーに隣接したジュイアンジョザスの動向とは無縁ではないであろう。エロイック・ペラーシュ、リシャール・ペランという大物のボアソナードタワーでの大一番を控えるジュイアンジョザスの日常を混乱させないよう、南回りの拠点であるオルリー空港を使用するのではなく、空軍基地を使用していることは容易に想像できる。
 フランスが欧州選手権予選を楽に突破したのは1992年大会が最後であろう。それ以降は常に予選では苦しんできた。一方、その苦しんだ予選の末にたどり着いた本大会では期待以上の成績を残し続けている。今回の予選も最後までもつれることになったが、予選を突破することを期待したい。(続く)

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