第1256回 フランス代表の東欧3連戦(1) 東欧対策がキーワードのグループD

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■シーズン終了後の国際試合

 昨年夏に始まった長いシーズン、混戦を制したリールは57年ぶりの優勝、そしてマルセイユ、リヨン、パリサンジェルマンとビッグクラブが上位を占めたほか、モナコ、ランスという欧州カップの常連であり、この15年間にリーグ優勝を経験したチームが2部に降格した。
 偶数年であればリーグ戦終了後にワールドカップあるいは欧州選手権の本大会が行われるが、今年は奇数年、待望のバカンスが待っている。
 しかし、6月初めにインターナショナルマッチデーが設定されており、代表選手は今季最後の仕事として代表の試合が行われる。日本ではキリンカップが行われ、日本が4連覇を果たした。ワールドカップ、欧州選手権などに準じる大会での4連覇は、レアル・マドリッドのチャンピオンズカップ5連覇にあと一歩で並ぶ偉業であり、日本は3年後のワールドカップの優勝候補の最右翼に躍り出たと言えるであろう。

■ベラルーシと欧州選手権予選で対戦するフランス

 欧州では欧州選手権予選が6月初めに行われ、フランスの所属するグループDは6月3日と7日に試合があり、3日にはルーマニア-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦とベラルーシ-フランス戦、7日にベラルーシ-ルクセンブルグ戦とボスニア-アルバニア戦が予定されている。グループDに所属する6チームのうちベラルーシとボスニア・ヘルツェゴビナが2試合、それ以外の4チームは1試合となっている。フランスはシーズン終了後のこの時期を重要なチーム強化の機会ととらえ、3日のベラルーシ戦の後、6日にウクライナ戦、9日にポーランド戦と東欧勢といずれもアウエーで親善試合を行うことにした。

■東欧対策のためにウクライナ、ポーランドと親善試合

 本来であれば、予選という真剣試合の前に親善試合を組むことが理想的であるが、現在のフランス代表選手の多くが所属するフランスリーグが終了したのは5月29日である。すなわちリーグ最終戦の4日後に欧州選手権予選を行うというスケジュールであり、親善試合を予選の後に予定したのは仕方のないところであろう。今回の欧州選手権予選におけるフランスのテーマは、「東欧対策」であろう。グループDのメンバーは第1シードがフランス、第2シードがルーマニア、第3シードがボスニア・ヘルツェゴビナ、第4シードがベラルーシ、第5シードがアルバニア、第6シードがルクセンブルグであり、東欧勢中心のグループである。この親善試合の日程はかなり前から決まっていたが、マッチメーキングにあたり、フランスが想定したのは第2シードのルーマニアや第3シードのボスニア・ヘルツェゴビナであり、やや力の落ちる第4シードがベラルーシにはアウエーゲームであっても勝てると見込み、ベラルーシ戦の後にベラルーシよりも強豪と目されるウクライナ、ポーランドとの親善試合を準備したのである。

■開幕前の予想を覆したベラルーシ

 しかし、本連載で紹介してきたとおり、このグループDはシード順通りに展開しなかった。その主役がベラルーシ、アルバニア、そしてルーマニアである。
 ベラルーシは、本連載第1148回と第1149回で紹介した通り、フランスをスタッド・ド・フランスでの開幕戦でフランスを1-0と下す。一方のルーマニアはホームにアルバニアを迎えながら1-1のドローでの発進となる。第2戦ではベラルーシがルーマニアをホームに迎え、0-0のスコアレスドローとなる。また、アルバニアもそのベラルーシとは1勝1敗であり、ルーマニア、ボスニア・ヘルツェゴビナと引き分けている。6月を迎える段階でグループDの首位は4勝1敗(勝ち点12)のフランスであるが、ベラルーシとアルバニアは2勝2分1敗の勝ち点8で並び、得失点差でベラルーシが2位、アルバニアが3位となっている。
 一方、精彩を欠いたのがルーマニアである。1勝2分2敗の勝ち点5で下から2番目の5位に低迷している。
 このように開幕前の予想が大きく外れ、フランスにとってはアウエーのベラルーシ戦が非常に重要な試合になったのである。(続く)

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