第2744回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(21) ポルトガルを下し、フランスが首位を確定

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■ファーストシュートはポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド

 11月14日に行われたポルトガル-フランス戦、スコアレスドロー以外の結果に終われば、第2回UEFAネーションズリーグのリーグA、グループ3の首位が決定する。この大一番は白いユニフォームに身を包んだフランスのキックオフで始まった。ポルトガルは赤いジャージー、緑のショーツ、赤のストッキングといういでたちである。
 この試合のファーストシュートはポルトガルのエースにして主将のクリスティアーノ・ロナウドであった。6分にラファエル・ゲレイロからのパスを受け、何とゴールから30メートル離れてところからロングシュート、ゴールの枠からわずかに外れるが、強烈なシュートであった。試合前の記者会見でフランスのゴールを守る主将のウーゴ・ロリスは「警戒すべきはクリスティアーノ・ロナウドだけではない」と発言したが、最も警戒すべき選手がクリスティアーノ・ロナウドであることは間違いない。

■チャンスをたびたび作ったアントワン・グリエズマン

 これに対してフランスの最初の得点機は12分のことである。この試合がフランス代表戦で42試合連続出場となったアントワン・グリエズマンがチャンスを作る。グリエズマンの祖父はポルトガル人で1950年代にプロ選手として活躍している。グリエズマンからのスルーパスを受けたアントニー・マルシャルがポルトガルのストッパーのジョゼ・フォンテをかわしてGKのルイ・パトリシオと一対一になる。マルシャルのシュートをルイ・パトリシオは左足で防ぎ、フランスの得点を許さなかった。スコアレスドロー以外の引き分けはフランスが首位確定となるため、ポルトガルにとってはまず失点を防ぐこと、そして得点を奪うことである。試合はポルトガルがやや優勢にボールを支配して進行していく。

■慣れないポジションで信頼を得たアドリアン・ラビオ

 劣勢な中でフランスは2回目のビッグチャンスをつかむ。18分にグリエズマンの右からのCKに合わせたのはこの日、左サイドのMFに入っているアドリアン・ラビオである。ラビオはポルトガルの守備陣をかわしてヘディングシュート、これもわずか数センチ差でゴールをとらえることができなかった。しかし、キリアン・ムバッペの欠場により、想定されたのとは違うメンバーで戦わなくてはならなくなったフランス。その中でもともとディディエ・デシャン監督との確執のあったラビオが、本来とは異なるポジションで起用されたということはラビオに対する期待であり、そしてこのシュートは期待を信頼に変えたといえるであろう。
 さらに41分にもフランスはグリエズマン、ルカ・ヘルナンデスとつなぎ、最後はマルシャルがシュートと押され気味の試合であるがシュートまでもっていく。直前のフィンランド戦では一方的に試合を支配しながらシュート数では物足りず、結局完封負けを喫した。フィンランド戦のショックから立ち直ったフランスであるが欲しいのは得点である。

■反応よくゴール前のこぼれ球をシュートしたエンゴロ・カンテ

 両チーム無得点で後半に入るが、両チームとも前半と同じメンバーで臨む。控え選手がウォーミングアップを始めたその時、この試合初のゴールが生まれた。グリエズマンからパスを受けたラビオがシュート、これをルイ・パトリシオがはじく。ここに走りこんできたのがエンゴロ・カンテである。カンテはポルトガルのDFに競り勝ち、左足で豪快にシュートを決め、ネットを揺らした。
 ここから両チームは積極的に選手交代を行い、ポルトガルは逆転を、フランスは追加点を奪おうとする。60分にはポルトガルのフォンテのヘディングシュートがポストに当たるが、フランスの守備陣がクリアする。フランスは運動量を落とさずに最後まで走り抜く。後半のアディショナルタイムは4分、両チームがゴール前に迫る展開となったが、両チームともゴールを決めることができず、フランスが1-0と勝利する。フランスはグループ3の首位を確定したのである。(続く)

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