第2844回 初戦はドイツに勝利(1) 第1シードながら近年は不振の続くドイツ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新型コロナウイルス感染の中でほぼ予定通りの会場で実施する欧州選手権

 新型コロナウイルスの感染拡大のために1年延期となった欧州選手権が開幕する。この組み合わせ抽選は本連載の第2586回と第2587回で紹介した通り、新型コロナウイルスの発生が確認される前の2019年11月30日に行われている。フランスはドイツ、ポルトガル、ハンガリーと同じグループFに入る。今回の欧州選手権は史上初めての分散開催となり、新型コロナウイルスの感染拡大はあったが、大会形式は変更をせず、ごく一部の開催都市の変更のみで、ほとんどの開催都市はそのままで大会はキックオフを迎えることになった。

■第1シードのドイツとアウエーで対戦するフランス

 この2回の連載で組み合わせについて説明したが、シード順は欧州選手権予選の結果で決められ、フランスは第2シードとなる。さらに厳しい条件となったのはグループFの第1シードは開催国、すなわちフランスは格上のチームとアウエーで対戦しなくてはならない。その格上の第1シードがドイツである。
 ドイツは、欧州選手権予選ではオランダとの二強対決が注目を集めたグループCに入る。直接対決ではいずれもアウエーのチームが勝利し、ドイツはそれ以外の試合ですべて勝利を収める。一方のオランダは北アイルランドと引き分けたため、ドイツは欧州予選全体を見渡しても最多の勝ち点21で首位突破し、本大会でのシード権も勝ち取った。

■UEFAネーションズリーグの最終戦でスペインに大敗

 欧州選手権予選では好成績を残したドイツであるが、直近の主要国際大会、すなわちフランスが優勝した2018年のワールドカップロシア大会ではグループリーグ敗退と惨敗した。ドイツがワールドカップの一次リーグで敗れるのは史上初めてのことである。また、2018年から2019年にかけて行われたUEFAネーションズリーグではトップシードされながら、フランスとオランダにホームで引き分けるのが精一杯、グループリーグ最下位に沈んでいる。最上位のリーグAのチーム数の増加によってかろうじてリーグBへの降格を免れ、UEFAネーションズリーグの第2回大会ではスペインに次ぐグループ2位に入った。
 しかし、直近の国際大会でグループ2位になったとはいえ、昨年9月以降に代表チームの活動が再開してからのドイツの成績は芳しいとは言い難い。この間、ドイツはUEFAネーションズリーグの6試合、ワールドカップ予選3試合、親善試合2試合の合計11試合を戦ったが、その戦績は5勝4分2敗である。しかも公式戦に関しては最後の試合は国民の期待を裏切る結果となっている。まず、UEFAネーションズリーグはスペイン、スイス、ウクライナと対戦したが、初戦はホームでスペインとドロー、その後も勝つか引き分けという展開で、最終戦を迎える時点で首位であった。そして最終戦は勝ち点1差で追うスペインとのアウエーの試合である。引き分ければ首位が決定するわけであるが、なんとこの試合で0-6と記録的な大敗を喫してしまう。引き分け狙いの試合での大敗はこれまでのドイツでは考えられないことであろう。これが昨年11月17日のことである。

■ワールドカップ予選では北マケドニアに敗れたドイツ

 年が変わり、3月下旬にワールドカップ予選が行われた。ホームでアイスランド、アウエーでルーマニアに勝利したところまではよかったが、3月31日に北マケドニアをデュイスブルクに迎えた試合では先制を許し、後半に追いついたものの、終盤に勝ち越し点を奪われ、1-2と敗れている。
 FIFAランキングも10数年ぶりに二桁と低迷している。このようにドイツは2018年のワールドカップでのショックをいまだに引きずっているかに見える。フランスは2014年のワールドカップブラジル大会の準々決勝でドイツと対戦し、0-1で敗れたが、それ以降は3勝2分とフランスは無敗である。しかし、ドイツが手ごわい相手であることは間違いない。ディディエ・デシャン監督以下、選手、スタッフは初戦のドイツ戦を最重要してこの2年間準備を重ねてきたのである。(続く)

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