第430回 トーナメント戦に突入した欧州カップ (4) アウエーで惜敗のモナコ、大勝のリヨン

■グループリーグを首位で突破したモナコとリヨン

 前回までの本連載ではUEFAカップ決勝トーナメント初戦であるベスト16決定戦を取り上げたが、このUEFAカップのベスト16決定戦第2戦の前々日である2月22日からチャンピオンズリーグもトーナメント戦が始まった。
 フランス勢でグループリーグを突破したモナコ、リヨンは、両チームともグループリーグを首位で通過したため、決勝トーナメントの初戦はグループリーグ2位のチームと対戦、そして第2戦をホームで戦うという有利な条件が与えられた。第1戦は2月22日にモナコがPSVアイントホーヘン(オランダ)、2月23日にリヨンはベルダー・ブレーメンと対戦した。

■昨季も対戦しているモナコとPSVアイントホーヘン

 モナコは敵地アイントホーヘンに乗り込む。本連載の読者の皆さんならば記憶も鮮明であろうが、本連載第267回と271回で昨季この両チームはチャンピオンズリーグのグループリーグで対戦、アイントホーヘンではモナコがフェルナンド・モリエンテスの活躍で2-1と勝利、モナコでは両チーム退場者を出す荒れ気味の試合となったが、引き分け以上で決勝トーナメント進出の決まるモナコは引き分け、グループリーグを勝ち抜いている。一方のPSVアイントホーヘンはグループリーグで敗退しており、昨季の雪辱を果たしたい。そしてなによりもモナコ戦の前夜、アムステルダムではライバルのアヤックスがフランスのオセールに勝っている。PSVアイントホーヘンの昨年のオランダリーグの成績は2位、優勝はアヤックスである。モナコに対する雪辱の気持ち、そして国内のライバルであるアヤックスの勝利がイレブンの闘争心をかきたてたのである。
 そしてPSVアイントホーヘンは序盤の8分にブラジル人のアレックスが先制ゴールを奪う。その後も追加点を狙うが、モナコの守備を崩せず、モナコも少ないチャンスをいかして同点に追いつこうとしたが、ゴールネットを揺らすことはできず、前夜のオセール同様0-1というスコアでオランダでの戦いを終えた。

■「世紀の大逆転」1999-2000シーズンのUEFAカップ

 翌日にはベルダー・ブレーメンの本拠地ベーゼル競技場にリヨンが乗り込む。実はこの両チームも欧州カップでの対戦歴がある。1999-2000シーズンのUEFAカップのベスト16決定戦で対戦し、第1戦はホームのリヨンが3-0と一蹴する。ところが舞台をブレーメンに移した第2戦でベルダー・ブレーメンは4-0と勝利、「世紀の大逆転」と呼ばれた。また、ベルダー・ブレーメンは1992年のカップウィナーズカップ決勝でモナコを下し、優勝しているが、チャンピオンズリーグでの活躍は国内のバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムントの陰に隠れている。一方のリヨンは近年、チャンピオンズリーグの常連であり、昨季は優勝したポルトに敗れてベスト8、5シーズン前の屈辱を晴らしたいところである。

■リヨンが前回の対戦と同スコアで大勝

 そして試合は因縁のスコアとなった。予想通りキックオフから地元のベルダー・ブレーメンがリヨンのゴールを襲う。この攻撃をしのいだリヨンは9分にシルバン・ビルトールがセンタリングにあわせて先制点。その後はベルダー・ブレーメンが攻め続けるが、リヨンに運は味方し、なかなか同点ゴールは生まれない。リヨンが最少得点で逃げ切るかと思われた77分、マーマド・ディアラが強烈なシュートで追加点。そして81分にはジュニーニョが30メートルのFKを決めて3点目。5季前同様、第1戦のスコアは3-0でリヨンが勝利する。
 しかし、5季前はリヨンのジェルラン競技場での試合であった。今回の第1戦は1999年12月7日にリヨンが4失点を喫したベーゼル競技場であり、第2戦での逆転はさすがに難しいが、何が起こるかわからない。リヨンで大逆転された試合に出場していた選手はGKのグレゴリー・クーペのみである。3月8日のリヨンでの第2戦でリヨンがベスト8進出を決めれば、前回の屈辱は文字通り「世紀の大逆転」として前世紀の遺物として封印されるであろう。(続く)

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