第2056回 欧州の舞台を目指すフランス勢(1) チャンピオンズリーグ予備戦3回戦から出場したモナコ

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■予備戦3回戦から参加するモナコ、リール、サンテチエンヌ

 6月から7月にかけては欧州選手権、8月に入ってからはリオデジャネイロオリンピックとメガスポーツイベントの続いた4年に1回のオリンピックイヤー、これらのメガスポーツイベントが開催される中でも国内外のサッカーカレンダーは例年通り流れていく。
 フランスの場合、国内リーグの開幕は8月第2週、ちょうどオリンピックの閉会時期と重なるが、その前にすでに公式戦が行われている。
 それが今回紹介するチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの本戦出場を目指す予備戦、プレーオフである。欧州のリーグの実力を示すUEFAインデックスでフランスは現在6位、したがってチャンピオンズリーグの本戦であるグループリーグに直接参加できるのはリーグ戦の1位と2位の2チームだけであり、リーグ戦3位のチームは予備戦3回戦から参戦し、これに勝利したうえでプレーオフも勝ち抜いて初めてリーグ1位のパリサンジェルマンや2位のリヨンと同じステージに立つことができる。
 一方、ヨーロッパリーグについてもフランス勢で直接本戦に出場できるのはリーグ戦4位のニースだけであり、5位のリールと6位のサンテチエンヌは予備戦3回戦からの戦いとなる。

■欧州でリーグランキング6位のフランス

 リーグランキング6位のフランスは5位以上のリーグに比べて不利なシステムとなっている。リーグ3位となった場合、リーグランキング1位のスペインと2位のイングランドは本戦に直接出場でき、3位のドイツ、4位のイタリア、5位のポルトガルはプレーオフからの参戦となる。しかし、6位のフランスは予備戦3回戦からの参戦となる。なおリーグランキング7位以下の場合、リーグ3位のチームにはチャンピオンズリーグ出場の可能性はなく、フランスはこれ以上ランキングを落とすわけにはいかない。

■強豪チームが目白押しのモナコの予備戦3回戦の対戦可能国

 チャンピオンズリーグの予備戦3回戦は中堅以上のリーグの優勝チーム以外同士の対戦、中堅以下のリーグの優勝チーム同士の対戦に分かれている。モナコを含む優勝チーム以外のチームは予備戦3回戦に10チームが出場する。モナコ以外の9チームはリーグ戦2位のチーム、すなわちフランスよりもランキングの低いリーグからの出場となる。しかし、アヤックス・アムステルダム(オランダ)、アンデルレヒト(ベルギー)、ステアウア・ブカレスト(ルーマニア)という優勝経験のあるチーム以外に、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)、フェネルバフチェ(トルコ)、PAOKサロニカ(ギリシャ)という近年のチャンピオンズリーグの常連チームが勢ぞろいである。

■トルコの強豪、フェネルバフチェと対戦するモナコ

 モナコの対戦相手はフェネルバフチェという難敵となった。第1戦の舞台はフェネルバフチェのホーム、イスタンブールで行われる。7月15日に未遂に終わったクーデターの舞台である。その余波もあり、市民は赤と白のトルコ国旗を掲げる。フェネルバフチェのチームカラーは黄色と黒であるが、この日ばかりはトルコ国旗とモナコのチームカラーの赤と白でスタジアムは染まったのである。
 シーズン開幕を控え親善試合等で力を蓄えてきたモナコにとって、新シーズン初の公式戦がアウエーでの強豪との対戦となった。
 モナコはシーズンの間の国際大会に出場し、休養のためにこの試合に出場していない選手が複数いる。まず、欧州選手権でチャンピオンとなったポルトガル代表のジョアン・モウチーニュ、欧州選手権では決勝トーナメントに残ったポーランド代表のカミル・グリック、そして19歳以下の欧州選手権でチャンピオンとなったキリアン・ムバッペの3人である。またクロアチア代表のGKのダニエル・スバシッチは試合前日に負傷したため、今季、ASローマ(イタリア)から加わった39歳の元イタリア代表のモルガン・デサンクティスがモナコの一員としてデビューしたのである。(続く)

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