第2207回 本大会目指す3チーム(1) アヤックス・アムステルダムに競り勝ったニース

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■予備戦3回戦を戦うニース、マルセイユ、ボルドー

 前回の本連載ではパリサンジェルマンがモナコを下したチャンピオンズトロフィーを紹介したが、それ以外にリーグ開幕前に行われた公式戦がチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの予備戦3回戦である。
 フランスの場合、リーグ3位チームがチャンピオンズリーグの予備戦3回戦、リーグ5位と6位チームがヨーロッパリーグの予備戦3回戦から参戦する。昨季のフランスリーグの3位はニース、5位はマルセイユ、6位はボルドーであり、この3チームはリーグ戦開幕前にホームアンドアウエー形式で2試合を戦うことになる。

■強豪と対戦することになるニース

 チャンピオンズリーグの予備戦3回戦に登場したニースはタフな戦いとなった。本戦を目指す予備戦やプレーオフは、フランスを含む上位リーグの優勝チーム以外のチームと中堅以下のリーグの優勝チームに分けられ、それぞれの中で本大会出場を目指す戦いが行われる。リーグランキングで6位のフランスリーグ3位のニースはリーグランキング7位から15位のリーグの2位チームと予備戦3回戦、プレーオフを勝ち抜かなくてはならない。ニースが対戦する可能性のある相手はCSKAモスクワ(ロシア)、ナポリ(イタリア)、ディナモ・キエフ(ウクライナ)、アヤックス・アムステルダム(オランダ)、AEKアテネ(ギリシャ)というビッグクラブがならんでいる。
 7月15日の抽選でニースは予備戦3回戦でアヤックス・アムステルダムと対戦することになってしまった。アヤックス・アムステルダムは昨季のヨーロッパリーグでは準優勝しており、準決勝でリヨンを破ったことは本連載第2175回から第2178回で紹介している。アヤックス・アムステルダムは11年連続でヨーロッパリーグに出場しているが、その中にはチャンピオンズリーグの本戦、予備戦から転戦してきたケースも少なくなく、今年は3年ぶりのチャンピオンズリーグ本大会出場を目指す。
 一方のニースは、チャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップに出場したのは準々決勝でスペインのレアル・マドリッドに敗れた1959-60シーズンが最後であり、58年ぶりの出場を目指す。
 育成に定評のあるアヤックス・アムステルダムであるが、当然若いタレントは移籍市場の対象となる。多くの有力な若手選手が移籍の対象となり、メンバーから外れた。また監督のピーター・ボスもドイツのボルシア・ドルトムントに移籍しており、チーム力が整備されない段階でのシーズン初戦となる。

■ニースの今季初の公式戦はマリオ・バロテッリでドロー

 7月26日、ニースのアリアンツ・リビエラ競技場には3万人を超える観衆が集まり、熱気に包まれた。試合は20分過ぎから動き出す。アヤックス・アムステルダムがチャンスをつかむが得点できず、逆に組織力で上回るニースが先制点を奪う。ゴール前に待ち構えていたマリオ・バロテッリがクロスを受けて、至近距離から先制のゴールを決める。
 後半に入って間もない49分にアヤックス・アムステルダムは、ドニー・ファン・デビークのシュートをニースのGKのヨアン・カルディナルが処理をミスし、追いつく。73分にはアヤックス・アムステルダムのダビンソン・サンチェスのヘディングシュートがニースのゴールを襲うが、バーに当たって、ニースは救われる。結局第1戦は1-1のドローとなった。

■逆転されるも追いついたニース、アウエーゴールの差でプレーオフへ

 第2戦は8月2日、アヤックス・アムステルダムの本拠地アレーナでの今季初となる公式戦に5万人を越える観衆がこの1戦を見守った。
 ニースは第1戦で得点をあげたバロテッリが負傷のため、今年2月以来の先発となるアラッサン・プレアを起用する。この第2戦も先制点はニースであった。開始早々の3分にアルノー・スケが得点をあげる。アヤックス・アムステルダムは第1戦でも得点をあげているファン・デビークが26分に同点ゴールをあげ、この時点でタイスコアとなる。
 次の1点を奪ったのはアヤックス・アムステルダムであった。57分にサンチェスが逆転ゴールを奪い、5万観衆のボルテージは上がる。しかしニースは79分にバンサン・マルセルが同点ゴールをあげる。試合は2-2のドローとなったが、アウエーゴールの多いニースがアヤックス・アムステルダムに競り勝ち、8月に行われるプレーオフに駒を進め、58年ぶりのチャンピオンズリーグに一歩前進したのである。(続く)

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