第2701回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (2) チャンピオンズリーグ初出場のアタランタ

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■準々決勝は4年ぶりのパリサンジェルマン、10年ぶりのリヨン

 8チームが真夏のポルトガルのリスボンに集結して行われるチャンピオンズリーグの準々決勝以降の戦い、組み合わせは前回紹介した通りである。
 常連チームと意外なチームが混ざり合う形となった。まず、常連チームとしてはドイツのバイエルン・ミュンヘン、スペインのバルセロナ、イングランドのチェルシーとマンチェスター・シティ、一方、意外な顔ぶれとしてはドイツのRBライプチヒとイタリアのアタランタといえるであろう。
 フランス勢であるが、パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントには8年連続して進出しており、常連チームといってもいいかもしれないが、実は過去3シーズンは決勝トーナメント1回戦で姿を消しており、4年ぶりの準々決勝となる。一方のリヨンは23年連続してチャンピオンズリーグまたはヨーロッパリーグに出場している欧州カップの常連であるが、チャンピオンズリーグの準々決勝となると準決勝に進出した2009-10シーズン以来10年ぶりとなる。

■日程的に有利なパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは準々決勝を初日に戦う。準決勝も同様であるが、勝ち進んだ場合常に相手より試合感覚が1日長いという好条件で戦うことができる。逆にリヨンは準々決勝最後の試合に登場する。準決勝以降はパリサンジェルマンとは逆に不利な試合日程となる。

■チャンピオンズリーグに初めて参戦したアタランタ

 パリサンジェルマンの1回戦の対戦相手となるアタランタは実はチャンピオンズリーグ初出場である。アルプスの麓のベルガモで1907年に設立した伝統クラブであるが、これまでに獲得したタイトルは1963年のイタリアカップだけである。今から10年前の2009-10シーズンには1部であるセリエAで18位に沈み、セリエBへ降格している。1年でセリエAに復帰したが、リーグの中位以下が定位置であった。

■短期間にチームを変革させたジャン・ピエロ・ガスペリーニ

 そんなチームに変革をもたらしたのが2016年に監督となったジャン・ピエロ・ガスペリーニであった。ユベントスの下部組織からトップチームに昇格したが、選手としてはこれといった成績を残すことなく引退した。指導者としても選手と同様にユベントスの下部組織からキャリアをスタートさせた。指導者としては数多くの選手を見出し、セリエAの監督として指揮を執るようになった。ジェノア、インテルミラノ、パレルモ、再びジェノアで監督を務め、アタランタにやってきた。就任初年にはセリエAでチームをクラブ史上最高の4位に導き、アタランタはヨーロッパリーグに出場する。27年ぶりに欧州カップに出場し、今世紀になって初めての欧州カップである。グループリーグではリヨンと同じグループEとなる。直接対決はリヨンで引き分け、ベルガモでアタランタが勝利し、全体の成績ではアタランタが首位、リヨンが2位になっている。これがアタランタとフランスのチームのこれまでの唯一の対戦である。
 ガスペリーニ体制2年目のシーズンはヨーロッパリーグでは上記の通りグループリーグを首位で突破、決勝トーナメントでは1回戦でボルシア・ドルトムント(ドイツ)に敗れたものの、リーグ戦では7位に入り、ヨーロッパリーグの予備戦の出場権を獲得する。予備戦2回戦、3回戦を勝ち抜いたが、グループリーグ出場をかけたプレーオフではデンマークのコペンハーゲンと対戦、2試合ともスコアレスドロー、結局PK戦で敗れてしまう。
 リーグ戦開幕前に悔しい経験をしたアタランタは、リーグ開幕後も苦戦する。最初の8試合うち勝利はわずか1試合と最悪のスタートであったが、後半戦は13試合連続負け無しなどの快進撃を続ける。最終的にはユベントス、ナポリに続いて3位となり、チャンピオンズリーグの出場権をクラブ史上初めて獲得したのである。また、このシーズンのアタランタはイタリアカップでも準々決勝でユベントス、準決勝でフィオレンチナを破り、決勝に進出、ラツィオに敗れたが、準優勝を果たし、すっかりイタリアの強豪チームとなったのである。(続く)

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