第2712回 パリサンジェルマン、初の決勝進出 (3) 決勝進出を導いたアンヘル・ディマリアの活躍

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■準々決勝とはメンバーとシステムを変えたパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンとドイツのRBライプチヒの対戦、いずれが勝利してもクラブ史上初のチャンピンズリーグ決勝進出となる。昨年のトットナム・ホットスパーも初めての決勝進出であったが、その前の初の決勝進出は2008年のチェルシー(イングランド)までさかのぼらなくてはならない。
 無人のルッス競技場で8月18日21時、キックオフされる試合、パリサンジェルマンは紺のユニフォーム、RBライプチヒは白いユニフォームで試合に臨む。パリサンジェルマンの布陣であるが、準々決勝でGKのケイロス・ナバスが負傷した。GKはセルヒオ・リコ、DFは右からティロ・ケーラー、チアゴ・シウバ、プレスネル・キンペンベ、フアン・ベルナトと準々決勝と同じメンバーが並ぶ。攻撃陣はメンバーもシステムも変更した。MFもFWも3人が並び、MFは中央にマルキーニョス、右にアンデル・エレーラ、左にレアンドロ・パレデス、FWは中央にネイマール、右にアンヘル・ディマリア、右にキリアン・ムバッペである。準々決勝ではディマリアは出場停止、ムバッペはベントスタートであり、この2人とネイマールの並ぶ攻撃陣は壮観である。
 また、アタランタ戦はリードを許し、終盤の逆転劇となったが、交代要員としてベンチにはアタランタ戦のヒーローのマキシム・シュポ・モティン、負傷して戦列から離れていたマルコ・ベラッティ、ドイツ人のユリアン・ドラクスラー、アタランタ戦では先発したイドリッサ・グイエ、マルコ・イカルディ、パオロ・サラビアも名を連ねている。

■キャリアを積んでいるパリサンジェルマンのメンバー

 前回の本連載ではRBライプチヒの若いメンバーを紹介したが、最年少選手であればパリサンジェルマンも負けていない。最年少は21歳のムバッペであり、ウパメカノと同じ年である。しかし、それ以外のメンバーはパリサンジェルマンの方がキャリアを積んでいる。

■出場停止から戻ってきたアンヘル・ディマリアの活躍

 試合は立ち上がりからパリサンジェルマンが圧倒する。6分にはムバッペがゴール前のネイマールに絶妙なパスを送る。ネイマールはシュートを放つが、惜しくもゴールポストの外側にボールは流れていく。その直後に、ネイマールが相手のGKのゴールキックをブロックし、よく反応したムバッペが無人のゴールに流し込むが、ネイマールのハンドで得点は認められず。一方的に攻めるパリサンジェルマンの先制点は時間の問題であった。13分に好位置でFKを得て、ディマリアがファーサイドのマルキーニョスにボールを送る。これをヘディングで右隅に決める。
 対するRBライプチヒも少ない好機を得点に結びつけようとして、主将のユスフ・ポウルセンがヘディングでパリサンジェルマンのゴールを襲うが、枠の外。
 2点目をあげたのは出場停止から開けたディマリアであった。パリサンジェルマンは高い位置で相手からボールを奪い、ペナルティエリア内のネイマールはヒールキックでゴール前にボールを供給、これをゴール前でフリーだったディマリアが決めて2-0とリードして前半を終えた。

■パリサンジェルマンが完勝し、初の決勝進出

 後半になってもパリサンジェルマンが攻め続けた。56分にはベルナトがゴール前に飛び出すが、RBライプチヒの最年長選手であるGKのペテル・グラーチに止められる。しかし、そのこぼれ球を拾ったディマリアが左サイドからクロスをあげる。これをゴール前のニアサイドに残っていたベルナトがヘディングで決める。
 出場停止から戻ってきたディマリアは1ゴール2アシストと全得点に絡む活躍を見せ、パリサンジェルマンが3-0と完勝する。前身のチャンピオンズカップの最初の決勝がパリ郊外で行われたころにはまだ誕生していなかったパリサンジェルマンは、クラブ創設50年にして初のチャンピオンズリーグ決勝進出を決めたのである。(この項、終わり)

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