第3298回 全6チームがグループリーグを突破したフランス勢

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ヨーロッパカンファレンスリーグの最終節を首位で迎えたリール

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場したフランス勢の戦いぶりを紹介してきた。残る欧州カップであるヨーロッパカンファレンスリーグにはフランスからリールが参加しており、首位で最終節を迎える。前回紹介したレンヌ、マルセイユと同様に2位以内を確定している。リールの所属するグループAは首位のリールと2位のスロバン・ブラチスラバ(スロバキア)が2位以内を決めているが、両チームの勝ち点の差はわずか1である。ヨーロッパカンファレンスリーグも1位通過は決勝トーナメントに直接進出、2位通過の場合はプレーオフでヨーロッパリーグのグルループリーグ3位のチームと戦うことになり、ヨーロッパリーグ同様1位と2位の差は大きい。

■PK3本で3-0で勝利したリール、フランス勢で唯一の首位突破

 リールは最終節でフェロー諸島のクラクスビークとホームで対戦、追うスロバン・ブラチスラバはホームにスロベニアのリュブリャナを迎える。リールはクラクスビークとアウエーで引き分けているが、ホームでも引き分けるとリュブリャナの結果次第となることから、最終節を勝利で飾りたい。
 国内リーグでも好調で順位を4位まで上げたリールは、開始直後から攻め立て、キックオフから2分もたたないうちにCKを得てサミュエル・ウムティティがシュートするが、これはポストに当たる。クラクスビークもカウンターアタックでチャンスをつかむが、先制点はリールであった。27分にペナルティエリア内でレミ・カベラが倒され、リールにPKが与えられる。これをユスフ・ヤジシが決める。
 前半はリールがボールを支配し、1点リードしたが、クラクスビークも反撃を仕掛け、シュート数はクラクスビークの方が多かった。リールは優勢に試合を進めながら追加点を奪えず、ファンのフラストレーションもたまったが、終盤にゴールを重ねた。84分、リールのアラン・ビルジニアスがペナルティエリア内でバックチャージを受ける。バックチャージをした選手は2枚目のイエローカードで退場、リールにはこの試合2回目のPKが与えられ、アンヘル・ゴメスが決める。さらに94分にはカベラがペナルティエリアでファウルを受け、クラクスビークの選手が退場、PKとなる。今度はエドン・ジャグロバが決める。リールはPK3本で3-0と勝利、首位突破を決めたのである。

■出場6チームすべてがグループリーグを突破したフランス勢

 この結果、チャンピオンズリーグではパリサンジェルマンが2位となり決勝トーナメントへ進出、RCランスは3位となりヨーロッパリーグの決勝トーナメントのプレーオフに回る。また、ヨーロッパリーグに出場したレンヌ、マルセイユ、トゥールーズはいずれも2位となり、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントのプレーオフにはフランスから4チームが出場することになった。そしてヨーロッパカンファレンスリーグに出場したリールは決勝トーナメントに進出する。このように欧州カップに出場したフランス勢は全6チームが年を越えて戦いを継続することになった。

■UEFAインデックスでライバルのオランダはグループリーグで苦戦

 チャンピオンズリーグ等の出場国数などの算定となるUEFAインデックスで5位のフランスは6位のオランダに迫られていたが、欧州カップにおけるオランダ勢はグループリーグでは思ったほどの成績を残すことができず、2023年を終える段階でその差を広げることができた。
 結局、オランダ勢は欧州カップに5チームがエントリーしたが、3チームしか残らなかった。ヨーロッパカンファレンスリーグの予備戦でトウェンテがまず姿を消した。チャンピオンズリーグではPSVアイントホーフェンが2位となって決勝トーナメント、フェイエノールトが3位となってヨーロッパリーグの決勝トーナメントのプレーオフとフランス勢と同じであったが、ヨーロッパリーグではアヤックスがマルセイユと同グループで3位となってヨーロッパカンファレンスリーグの決勝トーナメントのプレーオフに進むにとどまった。AZアルクマールはヨーロッパカンファレンスリーグで3位で敗退している。
 フランス勢6チームの戦いが楽しみである。(この項、終わり)

このページのTOPへ