第3623回 ヨーロッパリーグ開幕(2) ニースは黒星、リールは白星でスタート
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■ローマ相手に守りを固めたニース
フランス勢の中で最初に出場するニースは、9月24日の夜に出場36チームの中でUEFAインデックスの最も高いローマ(イタリア)をホームに迎えた。国内リーグで黒星が先行しているだけではなく、これまで欧州カップでイタリア勢と7戦全敗のニースは、ホームゲームであるが、組織的な守備でローマの攻撃をしのぐ。ローマの攻撃を何とか無得点に抑える。最初のピンチは38分であった。ローマのジャンルカ・マンチーニが先制点を入れたかに見えたが、これはオフサイドで認められず。何とかニースは前半をスコアレスで乗り切った。
■後半の序盤に連続失点したニース、反撃も実らず、ローマに敗れる
後半の開始早々、ローマは立て続けにゴールを奪う。52分にはCKからエバン・エンディカがヘディングで先制点を決める。そして55分にはマンチーニが今度は右足でシュート、追加点となる。60分すぎた段階で枠内シュートが1本もないニース、ローマより先に選手交代を仕掛ける。そして75分、ニースのアントワン・マンディはペナルティエリア内で倒される。これでニースはPKを獲得し、テレム・モフィのPKに対し、ローマのGKミル・スビラールもよく反応したが、モフィが勝り、ニースは1点返す。その後、ニースはロングボールを前線に蹴り込んで同点に追いつこうとするが、反撃の時間は短すぎた。ニースは初戦を1-2で落としたのである。
■負傷者続出のリール、第4シードのブラン相手に手こずる
翌日の25日はリールがホームのピエール・モーロワ競技場にノルウェーのブランを迎える。ブランは昨季のノルウェーリーグで5位であり、予備戦の早い段階から参戦ししたが、4つのチームを下してリーグフェーズに出場した。これまでの欧州カップでの最高の成績は2007-08シーズンのヨーロッパリーグでベスト16決定戦に残ったことである。
第1シードのリールがホームで第4シードのチームを迎え、負傷者が相次ぐリールは若い選手を多数先発させざるを得なくなる。メンバーが落ちていることに加え、キックオフの時間も18時45分とあって、ピエール・モーロワ競技場には1万7000人の観客しか集まらなかったが、スペクタクルな展開となった。アウエーのブランは4分にはヘディングシュートでリールのゴールを脅かす。ボール支配率に上回るリールはこれに対して13分、オサメ・サラウイが惜しいシュートを放つ。リールはボール支配率も陣地も優勢に進めるが、なかなか得点に結びつかない。逆に41分、リールのファンが肝を冷やすシーンが訪れる。ブランは左サイドから右にクロス、ボールを受けたブランのエミール・コーンビグは強いヒールキックで中央にボールを戻す。これをノア・ジーン・ホルムが強烈なシュート、このシュートがポストを直撃し、跳ね返る。その跳ね返ったボールをペナルティエリア内からさらにシュートするが、これは枠をとらえることができず、リールは救われた。
■決勝点を決めたベテランのオリビエ・ジルー
前半は両チームとも枠内シュートはなかったが、後半は早い時間から試合が動いた。53分、リールはマティアス・フェルナンデス・パルドが左サイドを駆け上がる。ペナルティエリア内に侵入したところでいったんスローダウン、フェルナンデス・パルドはゴール前に味方の選手が詰めてきたところで冷静にパスを送る。ハムザ・イガマネがスライディングしながらシュート、リールに待望の先取点が入った。
しかし、60分、ブランは中盤でリールのパスをインターセプトするとそのままボールをつないでゴール前に、セーバル・マグナソンのシュートはファーサイドのポストに当たり、ゴールインし、ブランが追いついた。ここでゲームはブランの時間となる。63分にはコーンビグのシュートがバーに当たる。
勝ち越しを狙うリールは73分にフェルナンデス・パルドのシュートがポストに当たる。79分右サイドからのCK、リールのシュートはまたもポストに嫌われたが、あきらめずボールをつなぎ、最後はまもなく39歳となるオリビエ・ジルーのヘディングシュートが決まって勝ち越し点となった。欧州での戦いをよく知るベテランがリールに勝利をもたらしたのである。(続く)