第548回 2005-06フランスカップ(2) パリサンジェルマンとマルセイユが初の決勝対決

■カップ戦の巧者がそろった準決勝

 4月13日にフランスカップ準決勝の抽選が行われたが、4チームの運命を決めたのは2006年ミスフランスのアレクサンドラ・ロザンフェルであった。マルセイユ-レンヌ、ナント-パリサンジェルマンとなり、2試合とも人気チームとブルターニュのチームの対戦となった。多くのファンはマルセイユとパリサンジェルマンと言う人気クラブ同士の決勝での対決を期待したが、もちろんブルターニュ地方のファンはレンヌとナントというブルターニュダービーの実現を期待している。このブルターニュ勢のレンヌ、ナントをあなどることができない。ナントは過去8年間でフランスカップの準決勝に進出すること実に5回、フランスカップだけではなくリーグカップでも2度準決勝に進出しており、合計7回セミファイナリストとなっている。これは最多の数字であり、それに続くのはモナコの6回、パリサンジェルマンの5回、そしてオセール、ボルドー、ニーム、レンヌ、スダン、ソショーの3回である。マルセイユもリヨンもカップ戦は苦手なことがこの数字を見てもわかる。

■15年ぶり17回目のフランスカップ決勝となるマルセイユ

 準決勝はまずベロドロームにマルセイユがレンヌを迎えた。マルセイユはフランスカップ獲得は1989年が最後で以来17年大統領の前での勝利から遠ざかっている。1990年代にも2度のチャンスがあったが、いずれも運に恵まれずタイトルに手が届かなかった。そしてこの日もベロドロームは真っ青に染まった。マルセイユは今季、インタートトカップ、UEFAカップ、リーグカップ、フランスカップと4つのカップ戦に出場、これが今季21試合目となる。フランスカップの決勝はスタッド・ド・フランスで行われるため、マルセイユにとってフランスカップで地元ファンの前に姿を見せるのはこれが最後の機会である。マルセイユのイレブンにとってサポーターの前での試合は大統領の前での試合と同様の重みを持つ。マルセイユのサポータークラブには会員数が1000人以上のものだけで7つある。そのファンの期待に早速応えたのがフランス代表入りも話題になるフランク・リベリが開始17秒に先制点をあげる。そしてマルセイユの勢いは止まらない。19分にタエ・タイオの蹴ったFKはレンヌの壁を見事に通り越えてネットを揺らす。さらに前半終了間際にはママドゥ・ニアンが3点目を入れてリードを広げる。後半は両チーム無得点のまま終わるが、マルセイユは15年ぶり17回目のフランスカップ決勝進出を決めた。そして驚くべき事実であるが、マルセイユがスタッド・ド・フランスで試合をするのは初めてなのである。

■接戦を制したパリサンジェルマン

 マルセイユが決勝進出を決めて目の色が変わったのがライバルのパリサンジェルマンである。マルセイユの決勝進出が決定した直後、ナントのボージョワール競技場での試合はキックオフされた。パリサンジェルマンもナント同様、カップ戦を得意とする。これまでに32回フランスカップに出場し、準決勝進出は実に11回、ほぼ3年に1度は準決勝に進出している。さらに1993年以来14年間で6回決勝に進出している。2004年には優勝しているがこのときの準決勝の相手がナントであり、延長、PKの末、決勝進出を決めている。これまでパリサンジェルマンとナントはフランスカップで6回顔をあわせてきたが、決勝での2回を含む4回はパリサンジェルマンに軍配が上がっている。
 カップ戦を得意とする両チームの戦いは前半は互角で無得点、後半に試合が動く。68分にパウレタからのパスを受けたファブリス・パンクラートはナントのGKのランドローと1対1になる。このチャンスをいかしたパリサンジェルマンが先制する。しかしその3分後、ナントはマウロ・セットがヘッドで決めて同点に追いつく。延長戦かと思われた86分、パウレタが見事なボレーシュートを決めて、これが決勝点となる。パリサンジェルマンは2年ぶり9回目の決勝進出となったのである。

■決勝では初対戦となる人気の両チーム

 これまでのフランスカップでマルセイユとパリサンジェルマンは7回対戦しており、パリサンジェルマンに6回軍配が上がっている。今世紀になってからは2002年、2003年、2004年と3年連続して対戦し、いずれも延長戦あるいはPK戦と接戦であったが、ベスト16決定戦あるいはベスト8決定戦での対戦である。実はこの人気チームが決勝で対戦することは初めてであり、決勝で実現した黄金カードにフランスのファンは喜んでいるのである。(続く)

このページのTOPへ