第1659回 リーグカップ、ファイナリスト決定(1) パリサンジェルマン、前年覇者のサンテチエンヌを下す

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■43チームが参加した今季のリーグカップ

 第1652回から第1658回までの本連載で1月に行われたフランスカップのベスト32決定戦とベスト16決定戦について紹介したが、この合間にリーグカップの準々決勝も行われ、チームによっては1月にカップ戦を3試合戦うことになった。  今季のリーグカップは1部20チーム、2部20チームに加え、3部に相当するナショナルリーグから3チーム、合計43チームが参加している。1回戦が行われたのは8月6日、2部の19チームとナショナルリーグの3チームの22チームが参加して行われた。2部の20チームのうちナンシーだけがこの1回戦に出場しなかった。その理由はナンシーは昨季1部18位であり、2部20チームの中で最上位になるからである。またナショナルリーグから参戦しているのは今季2部から降格したGFCアジャクシオ、昨年降格したアミアンとブローニュが参加している。なお、昨季2部の下位3チームはGFCアジャクシオと共に下位3チームとなったルマンは財政的な問題から6部に相当するDHに降格、スダンは財政的な問題からCFA2部に降格しており、リーグカップには出場していない。そのため、アミアンとブローニュが参加することになった。

■2回戦を勝ち抜いた2部以下の6チーム

 2回戦は1回戦を勝ち抜いた11チームに1回戦免除のナンシーを加えた12チームで8月27日に6試合が行われた。このように8月に行われた1回戦と2回戦で2部以下の23チームが6チームにしぼられた。この6チームはオセール、トロワ、ツール、ナンシー、クレテイユ・ルジタノ、アミアンという顔ぶれである。1部から降格したばかりのナンシーとトロワ、逆に2部に昇格したばかりのクレテイユ・ルシタノ、2部2季目となるオセール、昨季2部10位のツール、唯一ナショナルリーグからアミアンとバラエティに富んだ構成となった。
 クレテイユ・ルシタノは、パリ近郊のクレテイユにあるUSクレテイユが隣町のサンモールデフォッセのポルトガル人社会に根差したクラブのルシタノを合併してできたクラブである。ルシタノはポルトガル産の馬の品種である。

■3回戦まで免除される欧州組と前年覇者

 3回戦からようやく1部勢の登場である。3回戦は10月の末に行われた。この日程はチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグの日程と重なる。したがってこの3回戦には欧州での戦いに出場しているパリサンジェルマン、マルセイユ、リヨン、ニース、ボルドーの5チームは登場しない。また、昨季の優勝チームであるサンテチエンヌも登場しない。
 ベスト16決定戦に相当する3回戦は1部14チーム、2部5チーム、ナショナルリーグ1チームの20チームの間で争われた。その結果、1部勢7チーム(バスティア、レンヌ、トゥールーズ、ナント、エビアン、ソショー、スタッド・ド・ランス)、2部勢3チーム(トロワ、オセール、ツール)がベスト8決定戦に進出する。2部勢は3試合勝ち抜き、特にオセールはリール、トロワはバランシエンヌという1部勢をこの3回戦で破っている。

■注目のパリサンジェルマン-サンテチエンヌ戦は延長戦で決着

 いよいよ欧州組も参戦するのが、12月17日と18日に行われたベスト8決定戦である。すでに欧州組はグループリーグも終え、決勝トーナメントに進出したチームもグループリーグで敗退したチームもリーグカップに登場する。欧州組が実質的にシードとなることからゴージャスな顔ぶれである。
 注目はリーグ戦で首位を走り、チャンピオンズリーグのグループリーグでも首位突破を決めたパリサンジェルマンが前年度優勝のサンテチエンヌをパルク・デ・プランスに迎える一戦である。パリサンジェルマンはウルグアイ代表のエジソン・カバーニが25分に先制するが、サンテチエンヌは元パリサンジェルマンのトルコ代表メブルート・エルディングのゴールで78分に追いつき、試合は延長戦となる。そして満員の4万大観衆を歓喜させたのが延長後半、PK戦かと思われた119分、カバーニがこの日2点目をあげて、パリサンジェルマンはリーグカップ初戦を飾ったのである。(続く)

このページのTOPへ