第2314回 パリサンジェルマン、リーグカップ5連覇 (2) 2度のビデオ判定に泣いたモナコ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■久しぶりのボルドーでのビッグゲーム

 ボルドーで行われるパリサンジェルマンとモナコのリーグカップ決勝、サッカーの世界では初めてのボルドーでのカップ戦の決勝である。ラグビーの場合はかつてはボルドー、リヨン、トゥールーズでフランス選手権決勝(リーグ戦後のプレーオフ決勝)を行っており、1971年のベジエ-トゥーロン戦以来47年ぶりの国内ナンバーワンを争う試合がやってきた。
 さて両チームの今季の対戦成績を振り返るとリーグ戦ではモナコでの対戦は11月26日に行われており、アウエーのパリサンジェルマンが2-1と勝利している。モナコでの試合は4月15日、ボルドーでパリサンジェルマンのリーグ戦は4月22日に予定されており、パリサンジェルマンにとって今季初めてのボルドーでの試合となる。一方のモナコであるが、ボルドーでは10月28日に試合を行っており、ケイタ・バルデとトマ・ルマールのゴールでモナコが2-0と勝利している。

■昨季はモナコのメンバーとして決勝に出場したキリアン・ムバッペ

 さて、昨年のリヨンの決勝での敗戦の借りを返したいモナコ、昨年の先発11人のうち8人がこの試合にも先発している。一方のパリサンジェルマンは昨年の11人中8人がこの試合でも先発メンバーとなる。モナコは人数が合わないとご指摘される読者の方もいらっしゃるかと思われるが、昨年モナコの一員として先発していたキリアン・ムバッペが今年はパリサンジェルマンのユニフォームをまとい、同じ背番号29で出場するからである。そのムバッペであるが直前のロシア戦ではCFとして出場し、勝利の立役者となったが、パリサンジェルマンに戻るとそのポストは背番号9のエディンソン・カバーニに譲ることになる。昨年の決勝ではカバーニは2得点、ムバッペはノーゴールであったが、不動のCFのカバーニだけではなく、ムバッペのストライカーとしての才能も見たいものである。

■ビデオ判定で得たPKを決めたエディンソン・カバーニ

 試合前にはモナコで選手として活躍したユルゲン・クリンスマンがセレモニーを行う。パリサンジェルマンのキックオフで始まった試合、開始早々の7分に試合が動く。ムバッペがペナルティエリア内で倒され、ビデオ判定の末、パリサンジェルマンにPKが与えられる。フランスではリーグ戦にはビデオ判定がまだ導入されておらず、モナコのレオナルド・ジャルディム監督は2月末に行われたリーグ戦のトゥールーズ戦は微妙な判定で勝ちを逃しており、ビデオ判定の導入を求めたばかりであるが、この日はビデオ判定に泣く結果となった。このPKをカバーニが力強く蹴って先制点。今季ゴールを量産しているカバーニであるが、リーグカップではこれが初ゴールとなった。
 リードされたモナコは攻撃的になる。そしてパリサンジェルマンはカウンターから追加点を奪う。21分自陣からのムバッペのパスははるか前方のアンヘル・ディマリアへ、噛みがかったパスがきれいに通り、ディマリアの右足が追加点となる。称賛されるべきはムバッペで今季37試合目で15個目のアシスト(得点は19点)となった。

■ビデオ判定で得点が取り消されたラダメル・ファルカオ

 モナコは37分にロニー・ロペスのクロスをラダメル・ファルカオがヘディングで決めるが、ビデオ判定となり、オフサイドでノーゴールとなる。
 パリサンジェルマンが2点をリードして折り返し、後半は前半ほどゴール前の展開が少ない試合となる。リードしているパリサンジェルマンが優勢に試合を進めるが、モナコのGKダニエル・スバシッチの好守もあり、追加点が入らない。それでも85分、ムバッペが中央のカバーニにパスを送り、これをカバーニが足を伸ばしてシュート、これで3-0となる。
 試合は3-0でパリサンジェルマンが勝利、5年連続9回目のリーグカップ優勝となり、ムバッペが最優秀選手に輝いた。特筆すべきはパリサンジェルマンの国内カップ戦での圧倒的な強さ、2014年1月のフランスカップのベスト16決定戦でモンペリエに負けたのを最後であり、これで40試合連続負けなしとなった。そして今年もフランスカップでは勝ち進んでいるのである。(この項、終わり)

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