第2606回 今季が最後となるリーグカップ(3) 2部勢で唯一ベスト16入りしたルマン

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■廃止決定後に行われたベスト16決定戦

 9月18日のフランスプロサッカーリーグの理事会、総会で今季限りの廃止が決定されたリーグカップ、廃止決定の翌日にベスト16決定戦の組み合わせ抽選が行われた。ベスト16決定戦といっても16試合が行われるわけではない。欧州カップに出場する6チーム(パリサンジェルマン、リヨン、リール、サンテチエンヌ、レンヌ、ストラスブール)はベスト8決定戦から参戦するため、10試合が行われる。1回戦、2回戦を勝ち抜いた2部5チーム、ナショナルリーグ1チームと欧州カップに出場しない1部の14チームが出場する。 ちょうどチャンピオンズリーグのグループリーグの第3節と第4節の中間週の火曜日と水曜日、10月29日と30日に行われた。

■2部18位のルマンがニースを破り16強入り

 2部以下の6チームはいずれも1部勢と対戦、1部勢同士の試合が4試合となった。2部以下のチームにとって欧州カップに出場するためのルートはフランスカップあるいはこのリーグカップでの優勝だけである。
 29日に1部勢に挑戦した2部勢はRCランス(Lens)である。相手は1部18位のニームである。ニームはメンバーを大幅に入れ替え、平均年齢22歳の若いチームで臨み、RCランスを3-0と一蹴する。
 30日は残りの5チームが出場する。2部18位のルマンは1部15位のニースをホームに迎える。リーグ戦で低迷する両チーム、序盤に点の取り合いとなり、ルマンが3-2で競り勝った。

■ルマン以外の下位リーグ勢は全滅

 一方2部でもう1チーム、ホームで試合を行ったニオールはトゥールーズを迎える。負傷者が多く1部で17位と苦しむトゥールーズ相手にニオールは先制したが、逆転負けを喫する。
 その他、アウエーで戦った下位リーグ勢はいずれも敗れてしまう。2部で最下位のパリFCはナントに遠征するが、0-8と大敗を喫してヨーロッパリーグへの道は絶たれてしまう。ナンシーもモンペリエに常に先行され、2-3と競り負ける。唯一ナショナルリーグから勝ち残ったブール・アン・ブレスはスタッド・ド・ランスと対戦し、前半に2点を奪われ、1点を返したものの、1-2で敗れてしまう。ブール・アン・ブレスは現在リーグ9位、3年ぶりの2部復活に注力することになる。

■注目のモナコ-マルセイユ戦はモナコが勝利

 それ以外のカードは1部勢同士の顔合わせである。この中で最も注目を集めたのはモナコとマルセイユの対戦である。かつてはフランスサッカーの両巨頭と言われた時代もあったが、2000年代はリヨン、そして現在はパリサンジェルマンの天下、モナコもマルセイユもしばしばタイトルを獲得するが、継続することができない。マルセイユはリーグ順位こそ7位であるが、直前の週末のリーグ戦ではパリサンジェルマンと対戦し、0-4と大敗を喫している。1部での通算成績が31勝19分31敗とついに勝敗数で追いつかれてしまった。この後もリーグ戦ではリール、リヨンと上位勢との対戦が続くという苦しい中でのモナコ戦、今季就任したアンドレ・ビラス・ビラス監督も苦しい戦いとなる。
 一方のモナコであるが、リーグ順位はマルセイユよりも低い11位である。モナコは巻き返しのためにドイツのRBライプチヒにレンタルしていたジャン・ケビン・オーギュスタンを呼び戻し、ケイタ・バルデとともに2トップを組む。オーギュスタンが期待に応えて先制点を決め、モナコはその後追加点もあげて2-0とマルセイユを下してベスト16入りする。
 それ以外の1部勢対決はボルドーがGKのガエタン・プーサンとFWのジョシュ・マジャという20歳のコンビの活躍で最下位のディジョンに2-0と勝利する。リーグ戦では19位と苦しい戦いのメッスは5位と好調なブレストを迎え、後半に追いつかれるが、PK戦を制しベスト16入り、アミアン-アンジェ戦は点の取り合いとなり、後半のアディショナルタイムに決勝点をあげたアミアンが勝利する。
 1部勢9チーム、2部のルマンがベスト16入りしたのである。(続く)

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