第126回 絹の道、女子ワールドカップへの道(1) 男子とは異なる勢力地図

■中国で第1回大会が開催された女子ワールドカップ

 アジアで初めて開催された今年のワールドカップ。従来のアジアのサッカーの実績を勘案すれば、長い歴史の中で初めてこの地域でワールドカップが開催されたことは妥当であろう。ところが同じサッカーのワールドカップでも女子となるとその歴史は異なる。
 女子のワールドカップは1991年に始まっているが、記念すべき第1回大会の開催国は中国である。FIFAの主催する大会で欧州や南米以外で第1回大会が開催されたという点ではワールドユースも同様であり、第1回はチュニジア、第2回は日本というように欧州や南米以外で開催されている。ところが、女子のワールドカップとワールドユースとでは開催地を決定した理由が異なる。ワールドユースはサッカーが普及していない国にサッカーを普及させるという当時のジョアン・アベランジェFIFA会長の主張を受けて、チュニジアや日本で開催された。そして、自国開催でありながら、チュニジアも日本もグループリーグで敗退してしまっている。もちろん20年以上前のワールドユース開催が今回のワールドカップのグループリーグでの雌雄を決する戦いへの伏線とはなっているが、やはり開催国の実力よりは、サッカーの普及していない地域での開催ということに意義があったのであろう。一方、1991年の女子ワールドカップでは、この当時まだ男子のワールドカップに出場した経験のなかった中国が見事に決勝に進出し、惜しくも米国に敗れている。ホームアドバンテージの存在も否定できないが、むしろ中国の女子サッカーのレベルがこの準優勝につながっているといえよう。

■中国、米国、北欧勢が優位な女子サッカー

 続く第2回大会はスウェーデンで開催され、ノルウェーがドイツを下して優勝しており、3位決定戦は第1回大会の決勝と同じ顔合わせで再び米国が中国を下している。そして第3回大会は米国で開催され、地元米国がPK戦の末、中国を下し初優勝している。そして来年の第4回大会は再び中国で開催される。
 このように女子サッカーの勢力地図は男子サッカーのそれとは異なり、中国、米国が覇権を握り、欧州勢では北欧勢が優位である。中国、米国が世界の頂点を争う理由は明確である。これらの国では女子のサッカー人口が多いことがあげられる。両国が男子サッカー以外の競技では世界の頂点を争うことが多いという事実を考慮するならば、女子サッカーが強いことは驚くに値しない。むしろ男子サッカーが弱いことが不思議なのである。

■実績のないフランスの女子サッカー

 ところで、フランスの女子サッカーはどうなっているであろうか。残念ながら、数多くの栄光を獲得した男子と違い、今までこれといった実績を残していない。ワールドカップには今まで一度も出場したことはなく、1984年に始まった欧州選手権には第1回大会からエントリーしているが、昨年ドイツ大会まで本大会に出場したことはなかった。また、初めて本大会出場は果たしたドイツ大会でも、グループリーグで最下位に終わっている。男子と比べると寂しい成績であるが、これはフランスにおける女子サッカーの普及の低さに起因している。
 競技人口に関しては、男子は200万人以上いるのに女子は4万人しかいない。サッカーは男子のスポーツ、と言ってしまえばそれまでだが、この数字は2つのことを物語っている。まず、女子の球技に限っても4万人という競技人口はバスケットボール、ハンドボール、バレーボールの後塵を拝していること、そして他の球技における女性比率が少なくとも3割はあるのに対し、サッカーはわずか2%という点である。

■1998年のワールドカップ制覇を期に女子サッカーの普及と強化に着手

 このような女子サッカーの普及の遅れに対し、フランスは1998年のワールドカップでの優勝を契機に女子サッカーの普及と強化に乗り出した。その成果が2001年にドイツで開催された欧州選手権で実現した本大会初出場であろう。このドイツ大会でのフランス女子代表の戦いについては以前、スポーツナビゲーションに執筆したことがあるので参照していただきたい。そして男子の欧州チャンピオンズリーグに相当し、昨年から始まったクラブ対抗の欧州女子カップではトゥールーズが準決勝に進出している。
 そして、フランス女子イレブンは来年中国で開催される第4回女子ワールドカップを目指しているのである。(続く)

このページのTOPへ