第1428回 初戦は米国に逆転負け (1) ワールドカップとほぼ同じメンバーでオリンピックに臨む

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チームの熟成度がワールドカップ以降の好成績の理由

 昨年のワールドカップでは準決勝に進出し、世界にその存在を初めて知られることになったフランス女子サッカー、昨年のワールドカップ後も順調な足取りであることを紹介した。ワールドカップ後の1年間、17戦全勝という好成績を残すことができた理由はチームの熟成度にある。

■ベテラン選手の入れ替えのなかったオリンピックメンバー

 オリンピックのサッカーの選手登録数は18人、昨年のワールドカップは21人であり、登録メンバーは3人少なくなっている。ワールドカップのメンバーから外れたのは4人、そのうちの2人はGKであり、昨年のドイツでは主力であったベランジェール・サポウィックスと出場機会のなかったレティシア・フィリップが外れ、サラ・ブハディが入った。フィールドプレーヤーではMFのキャロリーヌ・ピザーラとFWのサンドリーヌ・ブレティニーが外れ、カミーユ・カタラが入った。これらの入れ替えの選手は20歳代の選手であり、30歳以上のベテラン選手は昨年のワールドカップに続いて世界の舞台に再び立つことになった。

■チームを支えるベテラン選手たち

 その結果、18人中5人が30代、13人が20代というベテランの多い構成となった。そのベテラン選手の代表が昨年のワールドカップまで主将を務めていた最年長で38歳のサンドリーヌ・スーベイランである。スーベイランはワールドカップ後は出場機会が少なく、オリンピックには出場しないかと思われたが、オリンピックには必要なメンバーということで18人のリストの中に入っている。それ以外の30代の選手はGKのセリーヌ・デュビル、DFのソニア・ボンパストール、サブリナ・ビグイエ、MFのエリーズ・ビュサグリアであり、チームの中心選手ばかりである。
 改めて18人の選手の名を連ねるとGKはデュビルとブハディ、DFは22歳で最年少のウェンディ・ルナール、ローラ・ジョルジュ、オフェリー・メイユルー、コリン・フランコ、ボンパストール、ビグイエ、MFはロール・ブロー、スーベイラン、カミーユ・アビリー、カタラ、ルイーザ・ネシブ、ビュサグリア、FWはユージェニ・ルソメ、マリー・ロール・デリー、エロディ・トミ、ガエタン・ティネであり、本連載でおなじみの選手がほとんどである。
 このようにメンバーがほとんど変わらず、世代交代は進んでいないものの、女子サッカーは男子に比べれば選手の年齢構成の幅が広い。フランスはオリンピック初出場であるが、昨年のワールドカップよりも上位の成績、すなわちメダル獲得は夢ではない。

■シード国の米国と初戦で対戦

 ワールドカップには16か国が本大会出場していたが、オリンピックはそれよりも少ない12チームが参加する。グループ分けも大陸別にグループを分けて抽選が行われた。欧州からは開催国の英国、スウェーデン、フランスの3か国。南米からはブラジルとコロンビア、北中米・カリブ海からは米国とカナダ、アフリカからはカメルーンと南アフリカ、アジアからは日本、北朝鮮とそれぞれ2か国。そしてオセアニアからはニュージーランドの1か国という12か国である。
 欧州3か国、アフリカ2か国+南米1か国(コロンビア)、アジア2か国+オセアニア1か国、北中米・カリブ海2か国+南米1か国(ブラジル)と参加12か国を3か国ずつ4つの集団に分けてグループリーグの抽選を行った。ただし、開催国の英国と世界ランキング上位2チーム(米国と日本)の3か国はシード国として同じグループに入らないように配慮された。
 その結果、グループE(グループAからDは男子)には開催国の英国(シード)、カメルーン、ニュージーランド、ブラジル、グループFはスウェーデン、南アフリカ、日本(シード)、カナダ、グループGはフランス、コロンビア、北朝鮮、米国(シード)となった。
 フランスの初戦の相手はシード国の米国である。(続く)

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