第1430回 初出場で決勝トーナメントに進出(1) 初対決の北朝鮮相手にゴールラッシュ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■米国戦のショックから気持ちを切り替えて第2戦へ

 オリンピック初出場となったフランス女子サッカー、フランス選手団の中でいち早く協議が始まったが、米国に2-4と逆転負けを喫した。相手は世界ランキング1位であり、昨年のワールドアップの準決勝でも1-3と敗れているが、今回は米国に押されていたばかりではなく、2点先制しながら、守備陣の集中力の欠如で大量失点を喫した。大会前の親善試合では好調であっただけにこの敗戦はショッキングなものであった。
 オリンピックの試合日程はワールドカップなど他の大会よりも過密である。中2日の日程で試合が行われ、グループリーグと決勝トーナメントの間だけが中3日である。その中で気持ちの切り替えがどれだけできるかが勝負となるが、フランスの選手たちはみな前向きであり、第2戦を迎える。

■アジア勢の北朝鮮とは初対決

 第2戦は7月28日、ちょうど開会式の翌日、グラスゴーで北朝鮮と対戦する。フランスにとって初対決となる北朝鮮は、第1戦でコロンビアを2-0と下しており、このフランス戦で勝利すれば決勝トーナメントに進出することができる。北朝鮮は、高さとパワーで攻めてくる米国とは異なり、日本同様ショートパスをつなぎ、組織的なプレーをするチームである。そのためフランスは仮想北朝鮮ということで大会直前に日本と親善試合を行った。この親善試合の結果については日本の皆様はよくご存じであろうが、フランスが2-0と完勝、フランスはアジア勢に対して自信を持って英国入りしたのである。

■精神的支柱のサンドリーヌ・スーベイランを起用

 米国戦から立ち直りたいフランスは、メンバーとシステムを入れ替える。フランスはフランスの新たな伝統ともいえる4-2-3-1システムに切り替える。GKはサラ・ブハディ、DF陣は右からコリン・フランコ、ローラ・ジョルジュ、ウェンディ・ルナール、ソニア・ボンパストール、MFは守備的な位置にサンドリーヌ・スーベイランとエリーズ・ビュサグリア、攻撃的な位置には右にユージェニ・ルソメ、中央にルイーザ・ネシブ、左にガエタン・ティネを配置する。そして1トップはマリー・ロール・デリーである。
 米国戦では守備的なMFをビュサグリア1人に任せたが、チームの精神的支柱といえるスーベイランを起用する。ビュサグリアと組んだ中盤の底は圧巻である。また米国戦ではオフェリー・メイユルーが主将を務めたが、この試合の主将を務めるのはスーベイランである。

■フランスが圧倒、終盤に見せたゴールラッシュ

 米国戦とは逆にフランスが一方的に押し込む展開となる。北朝鮮は自陣ゴール前にくぎ付けという状態が続く。
 しかし、フランスも細かいミスが続き、20分過ぎには立て続けにフランスが決定的なチャンスをつかむが、CKからのルナールのヘディングシュートは北朝鮮のGKに阻まれ、ゴールはなかなか生まれない。ノースコアのままでハーフタイムかと思われたが、前半終了直前の45分、ボンパストールからのCKをファーポストで待っていたジョルジュがヘディングで先制点をあげる。攻め続けながらも無得点であった空気を断ち切ったのである。
 後半に入るとフランスと北朝鮮の地力の差がスコアに現れる。フランスは、日本戦の勝利で得た自信が後押しし、攻勢の手を休めず、北朝鮮のゴールを攻め続ける。後半に入ってスーベイランに代わってこの試合で代表100試合目となるカミーユ・アビリーを投入、さらに警告を受けたばかりのルソメに代えて、女アンリの異名を持つスピードのあるエロディ・トミをピッチに送り込む。これらの選手交代が功を奏し、70分にはネシブからのパスをトミが強烈なシュートを放ち、待望の2点目が入る。72分にはトミからのパスをノーマークとなったデリーが得点を決める。
 さらに、81分にはCKをDFのルナールがファインゴールで4-0、そしてフランスのゴールラッシュは止まらない。85分には右サイドのトミからのパスをカタラがゴールにいれる。ベテランの活躍が目立つ中で、最後の2点は若手選手が得点を決め、フランスは決勝トーナメント進出に大きく前進したのである。(続く)

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