第1512回 ドイツに27年ぶりに敗れる(3) セビリアの死闘、ドイツの勝利を知らない選手たち

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■安定した成績を誇るドイツ

 東西統合前の1987年、フランスは8月の親善試合で西ドイツに敗れ、11月に欧州選手権予選で東ドイツに敗れたが、その後は西ドイツ、東ドイツ、統一後のドイツに敗れたことがない。
 27年間、ドイツはフランスに勝っていないが、この間、ワールドカップでは6大会すべてに出場し、優勝1回(1990年)、準優勝1回(2002年)、3位2回(2006年、2010年)、ベスト8に2回と必ず準々決勝以上に進出している。また欧州選手権についても7大会すべてに出場し、優勝1回(1996年)、準優勝2回(1992年、2008年)、ベスト4に2回(1988年、2012年:欧州選手権では3位決定戦がない)、グループリーグ敗退2回という成績を誇っている。このような安定した実力を誇るドイツであるがなぜかフランスには勝てない。

■試合前のセレモニーを欠席したパトリック・バティストン

 フランスにとってはこの27年間負けていない相手であるが、ドイツに対して優越感を持つどころか、苦い経験があり、どこかで苦手意識を持っているようである。その苦い経験とは言うまでもなく1982年にスペインで開催されたワールドカップの準決勝であろう。セビリアで行われたこの試合については本連載の第259回で紹介したとおり、延長戦、さらにPK戦にもつれ込んで西ドイツが勝利したわけであるが、忘れられないのは、後半の57分にパトリック・バティストンと1対1になった西ドイツのGKのハラルド・シューマッハーがラフプレーでバティストンを倒し、バティストンが担架で運ばれたことである。
 2月6日の試合には当時の両国の選手が招待され、試合前にピッチに立って紹介された。両国から21人の選手が参加し、シューマッハーの姿もあったが、バティストンはシューマッハーと会いたくないのか、欠席している。そしてシューマッハーが紹介された際に8万観衆からブーイングが浴びせられたことは言うまでもない。

■今年初めの試合に臨む両チームの先発メンバー

 両国にとって今年初めての試合が2月6日夜、スタッド・ド・フランスでキックオフされる。ピッチに立った先発メンバーであるが、フランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、ママドゥ・サコ、パトリス・エブラ、守備的なMFは右にヨアン・カバイエ、左にブレーズ・マツイディ、攻撃的なMFは中央にマチュー・バルブエナ、右にムーサ・シソッコ、左にフランク・リベリー、そしてFWはカリム・ベンゼマである。
 ベンチにはミカエル・ランドロー、スティーブ・マンダンダ、アディル・ラミ、エチエンヌ・カプー、オリビエ・ジルー、ジェレミー・メネス、ガエル・クリシー、マチュー・ドビュッシー、マプー・ヤンガ・エムビワ、ロマン・アレッサンドリーニ、マキシム・ゴナロンが控えている。初めて代表入りしたラファエル・バランは負傷のため戦列を離れ、ヤンガ・エムビワが代わりにメンバーに入っている。
 一方のドイツ、フランスと同じ4-2-3-1システムである。GKはレネ・アドラー、DFは右からフィリップ・ラーム、ペア・メルテザッカー、マッツ・フンメルス、ベネディクト・ヘーベデス、守備的MFは右にサミ・ケディラ、左にイルカイ・ギュンドガン、攻撃的MFは中央にメスト・エジル、右にトーマス・ミューラー、左にルーカス・ポドルスキー、FWはマリオ・ゴメスである。

■先発メンバー22人中21人が20代の選手

 両チームで最年長は31歳のエブラであり、唯一の30代の選手である。このセルビアの死闘の際にこの世に生を受けていたのはエブラだけである。22人のメンバーのうち、生まれてから一度もフランスがドイツ(東ドイツ、西ドイツ)に負けたことを知らないという選手は、フランスではベンゼマ(1987年12月生まれ)、シソッコ(1989年生まれ)、サコ(1990年生まれ)の3人、ドイツはヘーベデス、エジル、フンメルス(以上1988年生まれ)、ミューラー(1989年生まれ)、ギュンドガン(1990年生まれ)の5人である。彼らにとって歴史を変える一戦となるであろうか。(続く)

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