第3228回 女子ワールドカップ開幕(2) 予選を全勝で突破したフランス

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■欧州選手権本大会を挟んで行われたワールドカップ予選

 これまでフランスの女子サッカーはクラブでは好成績を残してきたが、代表チームはそれに比べるとこれといった成績を残すことができなかった。女子サッカーの世界ではワールドカップ、オリンピック、欧州選手権が三大タイトルであるが、最新の大会である昨年の欧州選手権は3位になり、これまでの主要大会で最良の成績を残した。
 この欧州選手権の前後に行われたのが、今回のワールドカップ予選である。本大会出場チームが24から32に増加し、欧州からも前回まではホストを含めて9チームが出場できたが、今回は11チームに増加し、12チーム目はプレーオフを戦うことになった。
 欧州予選は2021年9月から2022年9月にかけて行われ、5ないし6チームの9グループに分かれて争われる。各グループの首位チームは本大会出場、2位チームについてはプレーオフを戦うことになる。プレーオフは2位チームの中で成績上位3チームと成績下位の6チームに分かれて行われ、上位2チームが本大会出場、3番目のチームは大陸間プレーオフに回る。

■10戦全勝、総得点54、総失点4で予選を突破したフランス

 この予選では2017年以降の主要大会の成績を加算し、シード分けが行われた。フランスは欧州の中でオランダ、ドイツ、イングランドに次いで4番目にランクされ、第1シードとなる。フランスはグループIに入り、第2シードのウェールズ、第3シードのスロベニア、第4シードのギリシャ、第5シードのカザフスタン、第6シードのエストニアと戦った。
 女子サッカーは男子サッカーよりもスコアが実力に比べて開く傾向がある。フランスは10戦全勝で予選を突破する。ウェールズにはホームで2-0、アウエーで2-1というスコアであったが、それ以外の相手とは大差となり、総得点は54、総失点は4であり、得失点差は50となった。これは他の強国も同様で、全勝で予選を通過したのはイングランド、デンマーク、スペインの3か国、この中でもイングランドは総得点80、総失点0、スペインも総得点53、総失点0と大量点を奪って、無失点で予選を切り抜けている。

■欧州から本大会出場は12か国

 結局、欧州予選は第1シードの9か国は予選リーグ戦ですべて1位となり、本大会出場を決めている。接戦となったのは、グループCのオランダとアイスランド、グループGのイタリアとスイスである。いずれも第1シードと第2シードであり、それぞれ1勝1敗となったが、全体の勝ち点で第1シードのオランダもイタリアも第2シードのアイスランドとスイスを、勝ち点2差で抑え、本大会出場を決めている。
 欧州予選で予選リーグで首位になった9チームを改めて列挙するとスウェーデン、スペイン、オランダ、イングランド、デンマーク、ノルウェー、イタリア、ドイツ、フランスである。
 そしてプレーオフで本大会の出場権を獲得したのはスイスとアイルランド、さらに大陸間プレーオフに出場したポルトガルはカメルーンに89分に追いつかれたが、94分にPKで勝ち越して、欧州勢として12番目の出場国となった。

■本大会の組み合わせでも第1シードになったフランス

 本大会のグループリーグの組み合わせは昨年10月22日に行われた。共同開催国の豪州とニュージーランドは第1シード、大陸間プレーオフを戦う3チームは第4シードとし、残る27チームはこの日現在のFIFAランキングに従って機械的にシード分けした。この時点のフランスの世界ランキングは5位であり、共同開催国を入れても最上位の第1シードに入ることができた。
 フランスはグループFに入り、第2シードのブラジル(この時点で世界ランキング9位)、」第3シードのジャマイカ(43位)、第4シードのパナマ(57位)と戦うことになった。
 上位2チームが決勝トーナメント進出という大会規定であり、ジャマイカは第3シードの8か国の中で最もFIFAランキングが低く、第4シードのパナマは大陸間プレーオフを勝ち抜いてきた3チームの中で最もFIFAランキングが低い。フランスにとっては悲願の初優勝に向けてグループリーグの組み合わせは理想的なものになったのである。(続く)

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