第670回 2007年ハンドボール世界選手権(5) 連勝で折り返した2次リーグ

■欧州勢が優勢なハンドボールの世界

 1次リーグ最終戦でアイスランドに痛恨の敗戦を喫し、勝ち点0で2次リーグに進出することになったフランスであるが、2次リーグのグループ1の構成国を早速確認したい。
 グループAからはスロベニア(1位)とチュニジア(2位)、グループBからはアイスランド(1位)とフランス(2位)、グループCからはポーランド(1位)とドイツ(2位)である。そしてスロベニア、アイスランド、ポーランドが1次リーグの成績で勝ち点2のアドバンテージを得ている。ちなみに2次リーグもう1つのグループ2はスペイン(グループD1位)、チェコ(グループD2位)、ハンガリー(グループE1位)、デンマーク(グループE2位)、クロアチア(グループF1位)、ロシア(グループF2位)となっており、実にチュニジア以外の11か国が欧州の国である。
 過去19回の世界選手権の優勝チームもすべて欧州勢である。これだけ欧州勢が上位を占める競技も他にはないであろう。

■世界選手権100試合目のメモリアルマッチでポーランドに勝利

 そのフランスの第1戦の相手はポーランドである。東欧勢の他の競技同様、1970年代には世界選手権やオリンピックで上位に進出していたポーランドのハンドボールであるが、近年は振るわず、フランスが優勝した昨年の欧州選手権も10位である。そのスイスで行われた欧州選手権でフランスが31-21と下して以来の対戦となるが、1次リーグ最終戦でドイツに27-25と競り勝っており、自信をつけている。一方のフランスはアイスランド戦の敗戦が気がかりである。24-32という8点差の敗戦は世界選手権、オリンピックでは1993年世界選手権決勝のロシア戦での19-28という9点差の敗北以来の大敗である。
 舞台をドルトムントに移し1月24日て2次リーグが始まった。前半はややポーランドが優勢で、フランスがリードした時間帯はわずかであり、12-11という接近したスコアで終える。後半に入ってフランスはよみがえった。3連続得点をあげて逆転する。フランスはその後も得点を重ね、最終的には31-22という大差でポーランドを下した。実はこの試合、フランスにとっては世界選手権で100試合目という記念すべき試合であり、フランスはこのメモリアルマッチを勝利で飾ったのである。

■復調したフランス、スロベニアにも完勝

 フランスにとって1月25日の第2戦も1次リーグを首位で通過した相手との対戦となった。グループAの首位はスロベニアである。東欧の自由化により新たに世界選手権のメンバーとなった国であるが、今世紀になってコンスタントに好成績を残している。フランスに30-34と敗れた昨年の欧州選手権こそ8位であったが、2004年の欧州選手権では準優勝を果たしている。2次リーグは最初の2試合が終わった翌日は休養日となっているため、この第2戦で勝利して休息日を迎えたいところである。
 2次リーグの初戦でスロベニアはドイツに敗れており、その敗戦を挽回したいところであったが、フランスが本調子になり、試合はフランスが終始圧倒した。前半は18-10とフランスがリードし、後半も得点差をさらに広げたフランスが33-19と勝利したのである。

■混戦となったグループ1、4チームが並んで折り返し

 また、ドイツはこの日もチュニジアに勝利し、ポーランドがアイスランドに競り勝った。2次リーグになって連勝したのはフランスとドイツ、いずれも勝ち点0からのスタートであり、連敗したのはスロベニアとチュニジア、スロベニアは勝ち点2を得ていた。2試合を終了した時点でグループ1は、勝ち点2のアドバンテージを得たチームよりも得なかったチームの方がよい成績を残し、混戦となった。
 1月26日の休息日を迎えた段階で1次リーグの成績も含めた成績はフランス、アイスランド、ドイツ、ポーランドが2勝1敗で並んでいる。そしてスロベニアが1勝2敗、チュニジアが3敗となっている。2次リーグの上位4チームが決勝トーナメントに進出できるが、本大会の優勝チームには来年の北京オリンピックの出場権、2位から7位までのチームにはオリンピック予選の出場権がかかっている。各チームとも是非とも決勝トーナメントに進出したいところであり、週末に第3戦と第4戦が行われる。そして土曜の夕方にフランスが対戦するのは開催国であり母国であるドイツなのである。(続く)

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