第1313回 3回目の決勝進出(3) ウェールズ戦に向けてようやくナンバー8が固定

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■週末のゴールデンタイムに大競技場で行われる決勝トーナメント

 予選プールの4戦とは見違える試合内容でイングランドに勝利したフランス、これで6回目の準決勝進出となり、オークランドのエデンパークで準決勝が行われる。ラグビーのワールドカップとサッカーのワールドカップの大会運営の違いについては、強豪国優先の試合日程に関してこれまでの本連載で紹介してきたとおりである。それに加えて、決勝トーナメントに入ってからは試合が週末に行われ、開催国ニュージーランドや隣国の豪州では週末の夜、そして欧州や南アフリカでは週末の午前中の試合となる。決勝トーナメントに出場した国のうち、通常の場合就寝している時間帯に試合が行われるのはアルゼンチンだけ、さらに参加20か国についても米国とカナダが加わるだけであり、週末の夜に試合を行うことが多くのテレビ観戦者をいざなうことになる。
 さらに、今大会は12会場で行われているが、決勝トーナメントが行われるのはウェリントンのウェストパック競技場(4万人収容)とオークランドのエデンパーク(6万人収容)だけである。さらに準決勝、決勝は収容人員6万人を誇るエデンパークで行われる。このように決勝トーナメントになれば、予選プールよりもはるかに良い条件で試合を楽しみことができるのである。

■舞台設定にふさわしい好ゲームぞろいの準々決勝

 そして準々決勝の4試合はこのような舞台設定にふさわしい試合となった。他の準々決勝の結果であるが、15日は北半球勢の試合となった。フランス-イングランド戦の前にもう1試合行われ、予選プールCで全勝のアイルランドは予選プールDで2位だったウェールズに10-22と敗れている。また16日には南半球勢4チームが出場し、予選プールCで2位にとどまった豪州が予選プールD首位の南アフリカに11-9と競り勝っている。そして予選プールAで全勝の地元ニュージーランドは予選プールBで2位のアルゼンチンを33-10と一蹴している。

■予選プール2位のチームが首位のチームを続々と下す

 このように予選プールで2位だったチームが、準々決勝4試合中3試合で予選プール全勝で1位通過のチームを下している。これはジャイアントキリングと言うよりは、予選プールの結果をみるならば、アイルランド-豪州戦は15-6、南アフリカ-ウェールズ戦は17-16と僅差であり、十分起こりうる結果であった。こう考えると、ニュージーランドに17-37と20点差で敗れ、トンガに予選プールで2敗目を喫したフランスが、いかに予選プールでの成績が悪かったかがお分かりであろう。

■8戦全勝のティエリー・デュソトワール、イマノル・アリノルドキ、ジュリアン・ボネールの第3列

 イングランド戦に勝利し、自信を取り戻したフランスであるが、そのキーポイントはFW第3列である。本連載でも紹介してきたが、今大会は各チーム30人のメンバー登録をしている。通常は1ポジションに2人を登録するが、複数のポジションをこなす選手の存在やチーム事情によって必ずしもそうではない。
 フランスの場合、FWは18人が選出されており、FWの要と言えるナンバー8は3人が名を連ねている。ルイ・ピカモール、ラファエル・ラカフィア、イマノル・アリノルドキの3人であるが、予選プール以来メンバーが固定しなかった。予選プール初戦の日本戦はラカフィア、第2戦のカナダ戦はピカモール、第3戦のニュージーランド戦もピカモール、第4戦のトンガ戦はラカフィア、そして決勝トーナメントの準々決勝のイングランド戦ではアリノルドキを起用してきた。
この5試合の中で最も内容がよかったのはイングランド戦であり、この試合でナンバー8をつとめたアリノルドキを準決勝のウェールズ戦でも起用する。ウェールズ戦のFW第3列は左から主将のティエリー・デュソトワール、アリノルドキ、ジュリアン・ボネールとなった。3人とも代表キャップ数は30前後であるが、この3人が先発した試合はイングランド戦で8試合目であるが、なんと8戦全勝と言う抜群の戦績を誇っており、ウェールズ戦に向けて期待は高まるのである。(続く)

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