第1479回 フランスラグビー、最高の11月(1) 豪州戦で開幕する今年のウインドウマンス

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■11月はラグビーのウインドウマンス

 諸聖人のバカンス中に行われるBNPパリバ・マスターズから始まった11月、サッカーでは国内リーグ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグとクラブチームが国内外で試合を行ったほか、代表チームはイタリアとのアウエーの親善試合で勝利している。そして忘れてはならないのがラグビーで南半球の強豪との一連の親善試合である。11月はウインドウマンスと呼ばれ、南半球の国の代表チームが北半球を訪問し、テストマッチを行っていく。なお、春の6月もウインドウマンスであり、北半球の国が南半球を訪問する。

■ワールドカップ以降、よい成績の残せないフランス

 フランスは昨年の9月から10月にかけてニュージーランドで行われたワールドカップでは予選プールで苦戦したものの、決勝トーナメントに入ってからは快進撃、決勝では予選プールで大敗した地元ニュージーランドに肉薄しながらも惜敗し、準優勝に輝いている。
 そして年が明けた今春の6か国対抗ではアイルランドと引き分け、イングランドとウェールズに敗れ、2勝1分2敗の成績で4位に沈み、成長著しいウェールズのグランドスラムを許している。また、6月にはアルゼンチンを遠征、コルドン場での第1テストマッチは20-23と惜敗、サンミゲル・デ・ツクマンでの第2テストマッチでは49-10と大勝し、1勝1敗の五分の成績であったが、この秋の南半球勢との対戦でフランスは昨年秋の輝きを取り戻したいところである。

■ウインドウマンスにニュージーランドと豪州に勝てないフランス

 昨年はワールドカップが行われたため、11月にはテストマッチが行われなかったが、前回の2007年のワールドカップ以降の11月のテストマッチの成績を振り返ってみると、2008年以降毎年3試合行われており、2008年はまずアルゼンチンに12-6と勝利し、パシフィックアイランダースにも勝利、しかし最終戦で豪州に13-18と敗れている。続く2009年も同じパターンであり、まず南アフリカに20-13と勝利、サモアに43-5と大勝したが、最終戦ではニュージーランドに12-39と大敗している。そして2年前の2010年はフィジーに34-12と大勝、難敵アルゼンチンも15-9と下したが、最終戦で豪州に16-59とまたもや大敗を喫している。
 このところの11月のフランスフィフティーンは実力が伯仲しているアルゼンチンや南アフリカには競り勝ち、格下の太平洋勢には大勝しているが、豪州、ニュージーランドには歯が立たず、有終の美を飾ることができないまま年を越し、年明けからの6か国対抗に臨んでいる。

■チーム編成後間もない段階で豪州と対戦

 ワールドカップをはさんで2年ぶりに南半球勢を迎え撃つフランス、今年の11月のスケジュールはまず11月10日にスタッド・ド・フランスで豪州と対戦、第2戦は20日にリールでアルゼンチンと対戦、そして最終戦は24日にスタッド・ド・フランスに戻り、サモアと対戦する。従来は初戦および第2戦は同格並びに太平洋勢と対戦し、最終戦で豪州あるいはニュージーランドという南半球の横綱クラスのチームと対戦するというパターンであったが、今年は初戦でいきなり豪州と対戦する。
 初戦で豪州と対戦することはフランスにとっては大きな試練である。フランスはシーズン中であり、コンディションはいいというものの、サッカーと異なり年3回しか代表としての活動のないラグビーにおいて、チーム結成直後という不安は残る。フランスが代表チームとして活動するのは今年6月のアルゼンチン遠征以来ほぼ5か月ぶり、一方の豪州はフランス代表が活動していなかった間に8月2試合、9月3試合、10月2試合と7試合も試合を行っている。さらにこの7試合の相手はニュージーランド3試合(1分2敗)、南アフリカ2試合(1勝1敗)、アルゼンチン2試合(2勝)と強豪ばかりである。6月の遠征でフランスが1勝1敗だったアルゼンチンに2勝(ホーム、アウエー1試合ずつ)しているところから、豪州の方が優勢であるという声が強かったのである。(続く)

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