第1781回 デビスカップ、またも準優勝(2) 2連覇中のチェコを破り決勝進出

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準決勝のチェコ戦の舞台はローランギャロス

 ディフェンディングチャンピオンで現在2連覇中のチェコとの準決勝はフランスで行われることになった。ここまでフランスとチェコ(チェコスロバキア時代を含む)の対戦成績は7勝7敗の五分、5年ぶりの対戦となる。フランスが舞台として選んだのはローランギャロス、全仏オープンの開催地であり、そしてフランスの選手が得意とするクレーコートのサーフェスである。

■世界ランキング上位が並ぶフランス、エースとダブルスが生命線のチェコ

 アルノー・クレマン監督はこのチェコ戦に向けて4人の選手を選出した。世界ランキング12位のジョー・ウィルフリード・ツォンガ、18位のガエル・モンフィス、25位のジュリアン・ベネトー、26位のリシャール・ガスケという四銃士である。世界ランキングを見ただけでこれだけの陣容をそろえた国はなかなかない。
 一方のチェコ、世界ランキング7位のトマーシュ・ベルディハ、31位のルカシュ・ロソル、66位のイージ・べセリ、68位のラデク・ステパネクの4人である。ランキングだけ比べてフランスが優勢というのは早計であろう。まず、エースが2勝すれば、後は残りのシングルス2試合、ダブルス1試合のうち1勝すればよい。また、ダブルスに関していうと、フランスはスペシャリストのベネトーが世界ランキング5位であるが、残りの3人は3ケタまたはランキング外であるのに対し、チェコはステパネクが33位、ロソルが39位とダブルスの得意な選手を2人抱えている。

■初日のシングルスは2試合ともストレートでフランスが勝利

 準決勝は9月12日の金曜日のシングル2試合で幕を開けた。第1ラバーはホームのフランスのナンバー2のガスケとアウエーのチェコのナンバーワンのベルディハとの対戦である。ベルディハは準々決勝の日本戦こそ欠場したが、1回戦のオランダ戦はシングルス2試合、ダブルス1試合と出場した試合すべてに勝利し、3-2という僅差の勝利の立役者である。そのベルディハに対し、ガスケは完璧なプレーを披露する。6-3、6-2、6-3という圧倒的なスコアでエースを粉砕する。
 続く第2ラバーはフランスのナンバーワンのツォンガがチェコのナンバー2のロソルと対戦する。第1ラバーのガスケの勝利で勢いに乗ったツォンガはロソルを圧倒する。6-2、6-2、6-3というスコアでフランスが第1日を連勝でスタート、王手をかけたのである。

■シングルスの選手を起用したフランス、チェコの鉄壁のペアを撃破

 2日目の土曜日、9月13日はダブルスである。ダブルスプレーヤーに人材を欠くフランスはいつもメンバー選考に悩まされる。もちろんランキング5位のベネトーという切り札がいるわけだが、ダブルスは2人そろってペアが成立する。フランスは1回戦の豪州戦ではガスケとツォンガというシングルスに出場したペア、準々決勝のドイツ戦ではベネトーとミカエル・ロドラというスペシャリスト2人のペアを起用している。このチェコ戦でクレマン監督は豪州戦同様、初日のシングルスで勝利した2人を起用した。一方のチェコはダブルスのスペシャリストのステパネクとエースのベルディアのペアである。
 豪州戦では急造ペアであっても勝利をあげたガスケとツォンガであるが、さすがに3連覇を目指すチェコのペアは手ごわかった。第1セットはタイブレークとなり、この第1セットを落とす。チェコ戦で初めてセットを失った。しかし、第2セットはフランスペアが6-4と取ってセットカウントは1-1となる。第3セットはまたタイブレークとなり、今度はフランスが奪い、セットカウント2-1とリードする。そして第4セットは6-1と一気にたたみこみ、デビスカップ過去16戦で1敗しかしていないチェコのペアを破った。ローランギャロスの大観衆の前でフランスは土曜日の時点で3勝をあげ、決勝進出を決めたのである。なお、日曜日は3セットマッチで行われ、ベネトーとモンフィスが出場し、ベネトーは敗れたがモンフィスは勝利、4勝1敗で準決勝を終えたのである。(続く)

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