第1991回 試練の続くラグビーフランス代表 (3) キッカー交代、僅差でイタリアを下す

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■力の劣るイタリアと初戦で対戦

 今年の6か国対抗の初戦はイタリアとスタッド・ド・フランスで戦う。イタリアは昨年のワールドカップではフランスと同じグループリーグに所属し、本連載でも紹介した通り、フランスが勝利している。また、2000年から6か国対抗に参戦したが、これまで80試合の戦績は12勝1分67敗と大きく負け越している。フランスはこれまでの6か国対抗では2回イタリアに敗れているがいずれもアウエーでの対戦である。フランス国内でフランスが敗れたのは1997年のグルノーブルでの対戦だけである。ギ・ノベ新監督にとっては恵まれた初戦の相手であり、ここで弾みをつけて復活ののろしを上げたいところである。

■フランス、イタリアとも先発15人のうち4人が新人

 新体制最初の先発メンバーは第1列がエディ・ベン・アルー、ギレム・ギラド、ラバ・スリマニ、第2列はポール・ジェドラジアックとヨアン・マエストリ、第3列は左からベンセラス・ローレ、ルイ・ピカモール、ダミアン・シューリーというFW陣。そしてスクラムハーフにセバスチャン・ベジ、スタンドオフにジュール・プリソンというハーフ団。TBラインは左からビリミ・バカタワ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ウーゴ・ボネバル、そしてFBにマキシム・メダールという先発メンバーである。
 昨年のワールドカップのメンバーは5人だけとなった。特にバックス陣7人のうちワールドカップメンバーはフィクーだけである。この15人のうち代表戦に出場経験がないのはジェドラジアック、ベジ、バカタワ、ダンティの4人、ベンチに控えるジェファーソン・ポワロ、カミーユ・シャ、ヤクバ・カマラとあわせて大量7人がメンバー表に名を連ねた。監督が交代する際にメンバーも入れ替わるが、前任のフィリップ・サンタンドレの2012年の就任時は2人、その前の2008年のマルク・リエーブルモンの時は6人、2000年のベルナール・ラポルトの時はわずか1人であった。23人のメンバーのうちほぼ3分の1の7人が新人というのはかなり思い切ったメンバー起用である。
 対するイタリアもこれまでのワールドカップでは一度も決勝トーナメントに進出したことがない。フランス人のジャック・ブルネル監督も先発メンバーに4人、ベンチスタートメンバーに2人の新人を起用してきた。
 この試合は2月6日に行われたが、昨年11月13日に同時多発テロの舞台となったサッカーのフランス-ドイツ戦以来、ほぼ3か月ぶりのスタッド・ド・フランスでの試合である。厳戒態勢の中でフランソワ・オランド大統領も臨席する。ニコラ・サルコジ前大統領がサッカーのパリサンジェルマンのファンとして知られたが、オランド大統領はブリーブのファンである。

■7人制から転向のビリミ・バカタワがいきなりトライ

 空席も目立つ6万4000人の観衆の前でキックオフされる。フランスはジャージを新調し、白で右肩が青、左肩が赤というものであり、一足早く7人制のチームでは採用されている。先制点をあげたのはイタリアであった。8分にスタンドオフのカルロ・カンナがドロップゴールを決める。フランスは昨年のワールドカップのメンバーから外れたトゥールーズのメダールからのパスを7人制から転向したバカタワがコーナーにトライを決める。デビュー戦でトライを決めたのはフランス代表110年の歴史の中でバカタワが99人目である。難しい位置であったがベジがゴールに失敗、そしてイタリアは26分にトライで逆転(ゴール失敗)、フランスは33分にペナルティを得て、フィクーが素早くリスタート、ローレ、シューリーとフランカー人がつなぎトライを決める。このゴールもベジは失敗し、10-8で折り返す。

■ジュール・プリソンにキッカーを代えたフランスが僅差の勝利

 後半の立ち上がりにイタリアはペナルティゴールで逆転、トライ(ゴール成功)も決めて46分の時点で18-10とリードを奪う。フランスは60分にバカタワが馬力のある突進を見せ、ボネバルがトライする。キッカーがプリソンに代わり、ゴール成功、1点差に迫る。その後、フランスはプリソンが2本、イタリアは1本のペナルティゴールを決めて最終スコアはフランスが23-21とこれまでにない僅差で勝利したのである。(続く)

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