第500回 ワールドカップ組み合わせ決定(2) スイス、韓国、トーゴと対戦

おかげさまで第500回の連載を迎えることになりました。読者の皆様にあらためて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■ミステリアスな相手がそろったグループG

 12月9日にドイツのライプチヒで来年6月9日に開幕するワールドカップ本大会の組み合わせ抽選会が行われた。前回の本連載で第1シードにフランスが入ったことを紹介した。
 伝統国優先という流れの中で第1シードの入ったフランスであるが、第1シードから漏れた強国としてチェコ、オランダ、セルビア・モンテネグロなどがあり、これらのチームとは同じグループに入るのを避けたいところである。
 フランスはグループGとなり、アフリカ、南米、オセアニアの8か国からなる第2シードからは初出場国トーゴ、欧州の8か国からなる第3シードからはスイス、そして中南米・カリブ3か国、アジア4か国、欧州1か国からなる第4シードからは韓国がフランスと同じ組になった。オランダ、チェコと言う強豪国とは別のグループになったが、ミステリアスな相手がそろうグループに入った。

■欧州選手権、ワールドカップ予選に続くスイスとの対戦

 フランスが初戦で対戦するスイスは本連載でも紹介している通り、今回のワールドカップ予選ではフランスと同じ組に入り、2試合とも引き分けている。さらに、昨年の欧州選手権でもグループリーグで同じ組に入っており、実に3大会連続で同じグループに所属することになった。ワールドカップ予選と本大会でともに同じグループに入るのはこのフランスとスイスだけである。さらにフランスはスイスとは本連載の第227回から第231回でも紹介している通り2003年8月20日に親善試合を行っている。2003年以来の対戦成績を振り替えると、2003年8月の親善試合はアウエーのフランスが2-0で勝ち、2004年6月にポルトガルで行われた欧州選手権でもフランスが3-1と連勝している。ところが大苦戦したのが記憶に新しい昨年行われたワールドカップ予選である。それまでの2戦の戦いぶりから、楽観的な意見も少なくなかったが、3月26日のスタッド・ド・フランスでの戦いは0-0のスコアレスドロー、さらに10月8日にベルンで行われた試合でも先制はしたものの追いつかれ、結局2引き分けに終わっている。来年6月13日のフランスとスイスの顔合わせは過去3年間で5度目となり、お互い手の内を知り尽くしているもの同士がワールドカップの第1戦で対戦する。

■暗い思い出のある韓国戦

 さて、フランスの第2戦は6月18日の韓国戦である。韓国は前回大会ベスト4、今回の第1シードに選ばれても不思議はない実力の持ち主であるが、フランスにとっては悪夢の国である。4年前のワールドカップでは決勝トーナメント進出は確実であるとフランス協会は代表チームの事務局をグループリーグが行われる韓国ではなく、決勝トーナメントに進出した際にフランスの試合会場となる日本に設置した。しかしながら、ワールドカップ開幕直前の韓国との親善試合でジネディーヌ・ジダンが負傷、玄界灘を渡らずして、フランスのワールドカップは終わってしまったのである。過去の対戦成績はフランス2勝と相性はいいが、不気味な相手であることに間違いはない。

■未知の相手と未知の町で対戦するトーゴ戦

 そして第3戦はトーゴ、フランスがまだ戦ったことのない国である。フランスから独立した国であり、多くの代表選手がフランス国内で活躍しているが、2部リーグ以下に所属する選手が少なくない。最大のスターはモナコに所属するエマニュエル・アデバイヨルであろう。フランスにとって第1戦と第2戦で勝ち点を積み上げれば楽な試合になるはずである。
 ところが、このトーゴ戦には不気味な要素が加わる。フランスはシュツットガルト(スイス戦)、ライプチヒ(韓国戦)、ケルン(トーゴ戦)で試合を行うが、シュツットガルトでフランスはこれまで3回ドイツ(西ドイツ)代表と対戦したことがあり、1勝1分1敗という成績を残している。唯一の勝利は本連載第258回で紹介した1996年欧州選手権直前の親善試合である。この欧州選手権で優勝したのはドイツであり、フランスの成熟を現した試合となった。ところが、伝統的に東ドイツを苦手としたフランスにとってライプチヒにはいい思い出がない。東ドイツと3回対戦して1分2敗である。そしてトーゴ戦はケルンで行われる。フランス国境から最も近いケルンであるが不思議なことにこれまでこの町でブルーのユニフォームが試合をしたことがない。しかも相手のトーゴは初対戦、未知の相手と未知の町で戦うことになるのである。(この項、終わり)

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