第572回 決勝トーナメントかけたトーゴ戦(1) グループリーグで逆転突破がないフランス

■最終戦で勝利が必要なフランス

 フランスが韓国に同点に追いつかれてしまったその翌日、トーゴとスイスの試合が行われ、スイスが2-0とトーゴを下した。グループGは第2戦を終わった段階で勝ち点4でスイスと韓国が並び、得失点差でスイス(+2)が1位、韓国(+1)が2位となっており、フランスは勝ち点2、得失点差0で3位、トーゴは勝ち点0、得失点差-3で4位となっている。この段階で勝ち点4を獲得しているチームが2チームあることから、勝ち点0のトーゴはグループリーグ敗退が決定してしまっている。また、フランスの決勝トーナメント進出には、引き分けでは両チームに勝ち点が届かないため、勝利が必要となる。
 最終戦は上位同士、下位同士の戦いとなり、6月23日の21時からハノーバーでスイス-韓国戦、ケルンでフランス-トーゴ戦が行われる。フランスは3位にとどまってはいるが、相手はすでに敗退が決定したトーゴであるから勝つことは難しくないと考えることができる。フランスがトーゴ戦に勝ち、勝ち点を5に伸ばした際に気になるのが、もう一つのスイス-韓国戦である。この試合で勝ったチームは勝ち点7で首位となり、敗れたチームは勝ち点が4のままで3位に落ち、グループリーグでの敗退となる。つまり、最終戦で勝利を収めた2チームが決勝トーナメントに進出し、フランスは2位での通過となる。

■スイス-韓国戦がドローになれば得失点差で順位決定

 そしてスイス-韓国戦がドローになれば、3チームが勝ち点5で並ぶ。その場合には3チームの得失点差の勝負となる。スイスと韓国がドローとなった場合の得失点差はスイスが+2、韓国が+1であるため、フランスが何点差でトーゴに勝つかが注目される。3点差以上で勝利すればフランスが1位、2点差で勝てばスイスと並び、グループリーグを突破するが順位は総得点で決まる。また、1点差の勝利の場合はスイスがグループリーグ1位となり、2位は韓国とフランスのうち総得点が多いチームになる。韓国とフランスが並び、総得点が同じ場合、例えば現在3得点、2失点の韓国がスイスと0-0で引き分け、得失点とも1点のフランスが2-1でトーゴを下した場合、韓国もフランスも得点3、失点2となり、フランスと韓国の直接対決はドローであるため、抽選で決勝トーナメント進出チームを決めることになる。

■上位をキープして逃げ切った1958年、1982年、1986年

 さて、過去のワールドカップでのフランスのグループリーグでの戦いを分析すると気になるデータがある。ワールドカップ本大会でグループリーグが4チーム総当りで行われるようになったのは1958年スウェーデン大会からのことである。フランスは1958年大会以降、7回ワールドカップ本大会に出場している。このうち、グループリーグの第1戦と第2戦で連敗した1978年アルゼンチン大会と、逆に連勝した1998年フランス大会以外の5回はグループリーグ突破をかけて最終戦を戦った。この5回のうち、グループリーグ突破を決めたのは1958年スウェーデン大会、1982年スペイン大会、1986年メキシコ大会、逆にグループリーグで敗退したのは1966年イングランド大会と2002年の韓国・日本大会である。
 突破を決めた大会の最終戦を迎える段階の順位を振り返ってみると、1958年大会はユーゴスラビアに次ぐ2位で最終戦でスコットランドに勝ち1位で突破、1982年大会はイングランドに次ぐ2位で最終戦は3位のチェコスロバキアと引き分けて2位をキープして2次リーグに進出、さらに1986年大会は勝ち点はソ連と並び、得失点差で2位につけており、最終戦でフランスはハンガリー、ソ連はカナダを下し、2位で決勝トーナメントに進出している。

■最終戦で逆転に失敗した1966年と2002年

 逆に最終戦で涙を飲んだ大会については1966年大会は最終戦を迎える段階で最下位、最終戦で地元イングランドに2点差以上で勝てば決勝トーナメント進出だったが、0-2で敗れてしまい、グループリーグ最下位でサッカーの母国を去る。さらに2002年大会では1分1敗の最下位で最終戦はデンマーク、この時も2点差以上で勝利すれば決勝トーナメント進出となったが、歴史は繰り返し0-2で敗れてしまう。
 すなわち、グループリーグ最終戦で突破を決めたのは逃げ切ったケースしかなく、最終戦で鮮やかな逆転劇を見せたことはない。今回は先述のとおり、3位から逆転を狙う。歴史は3たび繰り返すのか、それとも過去の呪縛から逃れるのだろうか。(続く)

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