第1119回 メキシコに完敗、剣が峰に(2) 親善試合でも相性のいいメキシコに大勝したいフランス

■親善試合、コンフェデレーションズカップでも勝利

 フランスとメキシコはこれまでワールドカップの本大会で3回対戦し、フランスが2勝1分とリードしているが、それ以外の対戦でもフランスはメキシコを圧倒している。
 ワールドカップ以外での初対戦は1996年の夏の親善試合である。欧州選手権でベスト4進出と手ごたえをつかんだメキシコは2年後の地元開催のワールドカップに向けパルク・デ・プランスで発進する。メンバーのほとんどは欧州選手権に出場しているが、ロベール・ピレス、フローラン・モーリスがこの試合で代表にデビューしている。両国のいずれかのホームで行われた初めての試合はフランスが2-0と勝利し、2年後のワールドカップに向けていいスタートを切った。
 次の戦いはまた両国以外で行われる。2001年6月のコンフェデレーションズカップで対戦する。グループリーグ初戦で韓国に勝利し、豪州に敗れたフランスは準決勝進出をかけてメキシコと対戦した。欧州のトップリーグの多くがまだシーズン中であり、主力を多数欠いたフランスであったが、蔚山で行われた試合、GKはミカエル・ランドローが代表にデビューし、代表2試合目のエリック・カリエールの2得点などでフランスは4-0と圧勝する。この勢いでフランスは準決勝でブラジル、決勝で日本を破り優勝する。

■フランク・リベリーがデビュー、フローラン・マルーダが決勝点

 そして最新の対戦は2006年ワールドカップ・ドイツ大会直前のスタッド・ド・フランスでの対戦である。このときも親善試合を3試合行い、その最初の相手がメキシコであった。スタッド・ド・フランスには7万8000人の観衆が集まり、ジネディーヌ・ジダンの代表100試合目という記念すべき試合となった。試合はフローラン・マルーダのゴールでフランスが1-0と勝利しているが、この試合でフランク・リベリーが代表にデビューしている。この勝利で勢いに乗ったリベリーは続くデンマーク戦、中国戦にも出場し、親善試合3連勝の原動力となる。さらにドイツ入りしてからはグループリーグの序盤で停滞したが、最終戦でトーゴに勝利して決勝トーナメントに進出してからは一気に加速し、準優勝を果たしている。リベリーは代表にデビューしてからワールドカップの決勝まで10試合連続出場、デビューしてから短期間でこれだけ活躍した選手はいないであろう。

■点差をつけて勝利したいフランス

 このようにこれまでのメキシコとの対戦はフランスの5勝1分と圧倒的に優勢であり、しかもメキシコは開幕戦で地元とはいえ格下の南アフリカと引き分けている。メキシコに対して勝利をあげるだけではなく、フランスと引き分けたウルグアイが16日に南アフリカ相手に3-0と勝利していることを考慮するとある程度の得点差で勝利したいところである。

■メンバー入れ替えを期待するファンの声

 大会前の親善試合からフランスは4-3-3システムを起用し、ウルグアイ戦では親善試合では起用されなかったアブ-・ディアビーを左サイドのMFに起用したが、もう一歩であり、マルーダを復帰させることも考えられる。リベリーを本来の左サイドに配置しており、このチームの生命線は左サイド、最新の対戦で得点をあげたマルーダとデビュー戦がメキシコ戦であったリベリーの左サイドのコンビを期待するファンは多かった。
 そしてある程度の得点差の勝利のためにエースのティエリー・アンリを先発で起用し、大量得点への期待もある。また、アンリを先発から外したためにパトリス・エブラが主将を務めているが、エブラは自身代表28戦目となる5月末のコスタリカ戦で初めて主将を務め、その後チームは下り坂である。3月のスペイン戦まで主将を務めていたアンリをゴールゲッターとしてだけではなく、主将としての役割を期待する気持もよくわかる。
 しかし、6月17日、ポロクワネのピーター・モカバ競技場に降り立った11人は期待とは異なる驚きのメンバーだったのである。(続く)

このページのTOPへ