第2353回 デンマークとスコアレスドローで首位突破(2) 低調な内容でそろって決勝トーナメントへ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■プレーオフを経て本大会に出場したフランスの対戦国

 これまでフランスはワールドカップ、欧州選手権のグループリーグで5回も対戦し、そのうち4回は勝者が優勝している。奇遇なことであるが、今回フランスがグループリーグで対戦するチームはいずれも予選ではプレーオフを勝ち抜いてきた。第1戦で対戦した豪州はアジア5位として北中米カリブ海4位のホンジュラスと戦い、第2戦のペルーは南米5位としてオセアニア1位のニュージーランドをプレーオフで下している。そして第3戦のデンマークは欧州予選のグループEではポーランドに次いで2位、プレーオフでアイルランドを1勝1分で退けた。

■無敗記録を続けるデンマーク

 南米予選5位のペルーの世界ランキングが11位と高かった理由は本連載で紹介したとおり、過去1年半ほど負けていないからであるがデンマークも同様であり、2016年10月の欧州予選のモンテネグロ戦で敗れたのを最後に15試合連続で負けなしでロシアの地に立った。
 ペルーとの第1戦は無敗対決であったが、押され気味の中で1点を奪って勝利、ペルーの無敗記録をストップし、自身の無敗記録を16に伸ばし、第2戦では豪州に勝利している。

■第2戦と6人が入れ替わったフランスの先発メンバー

 メイン会場のモスクワのルジニキ競技場、最高の舞台が用意されたが、試合は至って低調なものとなった。
 フランスの先発メンバーはGKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・エルナンデス。MFは低い位置の右にエンゴロ・カンテ、左にスティーブン・エンゾンジ、攻撃的な位置には右からウスマン・デンベレ、中央にアントワン・グリエズマン、左にトマ・ルマール、そしてFWは1トップでオリビエ・ジルーである。第2戦に続いて先発出場したのはわずかに5人である。6人のメンバーを入れ替えたことから、フランスは勝利に固執せず、引き分け狙いであるという意図が透けて見える。ただし、第2戦に続いて先発するのはバラン、カンテ、グリエズマン、ジルーというセンターライン4人とサイドDFのエルナンデスである。多くの選手は休養を取ることが目的であるが、ポール・ポグバは警告を受けているために、決勝トーナメント1回戦での出場停止とならないように出場を回避している。そしてマンダンダはフランスの歴史の中で最年長でワールドカップにデビューした。

■低調な内容のスコアレスドロー、デンマークも決勝トーナメントへ

 試合はフランスがボールを支配するが、チャレンジしてデンマークのディフェンスラインを破ろうとする選手はおらず、安全第一でデンマークにボールを奪われるリスクを冒さない。また1対1の場面でも強気で競り合いに行くのではなく、まずは警告を受けないようにというスタンスで臨む。フランスは2002年のワールドカップでデンマークに敗れたのを最後にデンマークに対しては相性が良いが、全くそれを感じさせない慎重、いや弱気な試合運びに終始した。
 かといってデンマークも弱気のフランスに対して一気呵成に攻め込むのではなく、単調で力強さを感じさせない攻撃しか見せられない。キックオフ直後からルジニキ競技場はブーイングの嵐となった。フランスは圧倒的にボールを支配していたが、前半のシュートは5本、その中で枠の中に飛んだのは1本だけであった。
 後半になって両チームはさらにトーンダウンする。つまり、引き分けこそが最適解なのである。デンマークにとっては勝てば首位通過となるが、決勝トーナメント1回戦でアルゼンチンと対戦する可能性は少なくない。ソチで同時刻にキックオフされたペルー-豪州戦ではペルーがリードを奪っており、負けても決勝トーナメントという状況がデンマークの熱を奪い、フランスもそれに付き合う形でボール支配率68%でありながら、ペナルティエリア内に突進することをためらい、ペナルティエリアの外からカスパー・シュマイケルの守るゴールにシュートを打つだけであった。
 結局、今大会36試合目して初めてのスコアレスドロー、しかし、両チームはそろって決勝トーナメントに進んだのである。(この項、終わり)

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