第3097回 豪州戦で始まるワールドカップ (1) 4回目の中立地での対戦となる豪州戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■負傷者が続出した中で迎えた開幕

 中東で初めてのワールドカップが11月20日にカタールで開幕した。多くの選手が所属する欧州のシーズン中の大会とあって、各国とも負傷者を抱えながらの大会となった。前回までの本連載で紹介した通り、フランスもメンバー発表段階でエンゴロ・カンテ、ポール・ポグバがリストから外れ、国内外での合宿中にクリストファー・ヌクンク、プレスネル。キンペンベ、カリム・ベンゼマの3人が負傷で離脱、なかでもベンゼマはバロンドールを受賞したばかりとあって、ファンは不安の中でワールドカップ開幕を迎えることになる。

■アジア4次予選と大陸間プレーオフを勝ち抜いた豪州

 ワールドカップのグループリーグの組み合わせについては4月1日に行われ、本連載の第2994回と第2995回で紹介した通りである。組み合わせ抽選会を実施した時点で参加32か国が出そろっておらず、フランスはグループDに入り、デンマーク、チュニジアと対戦することまでは決まっていたが、残りの1チームは大陸間プレーオフの勝者である。
 大陸間プレーオフは、2グループに分かれたアジア3次予選で3位となったアラブ首長国連邦と豪州がアジア4次予選という形で戦い、その勝者が南米予選5位のペルーが対戦する。そしてプレーオフは当初は昨年11月にホームアンドアウエー方式で予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で日程が遅れ、アジア4次予選とセットでセントラル方式の1試合制となり、会場は本大会開催国のカタールのアハマド・ビン・アリ競技場である。まず、6月7日にアジア4次予選でアラブ首長国連邦と豪州が対戦し、豪州が2-1と勝利する。そして大陸間プレーオフとして豪州とペルーが6月13日に戦い、延長の120分が過ぎても両チーム得点をあげることができず、PK戦で豪州が競り勝った。

■スペイン、ドイツと前回覇者がグループリーグ敗退という不吉な歴史

 フランスは豪州、デンマーク、チュニジアの順に対戦することになり、組み合わせ抽選の段階では難しくないグループと目されていたが、その後、UEFAネーションズリーグではデンマークに連敗、日程的には首位通過を狙いたいフランスには負傷者も続出し、暗雲の中で開幕を迎える。さらに2010年大会優勝のスペイン、2014年大会のドイツと、過去2大会前回優勝チームはグループリーグで敗退するという不吉な歴史がある。

■3度の中立地での対戦は2勝1敗、フランスはいずれの大会も優勝

 さて、奇遇なことに豪州とデンマークとフランスは前回のロシア大会でも同じグループに入っており、フランスは4年前も第1戦が豪州戦であった。ロシアではフランスと豪州はお互いにPKで点を取りあった後、終盤に豪州のオウンゴールでフランスが勝利、優勝への第一歩となった。
 4年前の記憶も新しいところであるが、日本の皆様にとってはフランス-豪州戦というカードには特別な感慨をお持ちなのではないだろうか。まず、両国の最初の対戦は1994年5月25日のキリンカップ、神戸のユニバー記念競技場であった。この大会は日本、フランス、豪州の三国対抗の形式で行われた。フランスはジャン・ピエール・パパン、エリック・カントナ、ダビッド・ジノラの3人が初めてそろって先発出場、カントナの1点で豪州との最初の戦いを制し、日本にも勝利して優勝した。
 そして2回目の対戦は2001年のコンフェデレーションズカップである。2002年のワールドカップのプレ大会として日本と韓国で行われたこの大会で、フランスと豪州はグループリーグで対戦、韓国の大邱での試合は豪州が1-0で勝利する。結局、グループリーグで両国は2勝1敗で並び、得失点差でフランスが首位、豪州が2位で決勝トーナメント進出した。フランスは、韓国の水原での準決勝でのブラジル戦、横浜での決勝での日本戦にそれぞれ勝利し、優勝した。
 これ以外に両国は親善試合で2001年に豪州で戦い1-1の引き分け、2013年にはパルク・デ・プランスで戦いフランスが6-0と勝利し、これまでの通算成績はフランスの3勝1分1敗であるが、中立国で対戦した3回、いずれもフランスは優勝している。6回目の対戦でこれが4回目の中立国での対戦、フランスは優勝をつかむことができるだろうか。(続く)

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