第3098回 豪州戦で始まるワールドカップ(2) 3バックと4バックで模索、4バックシステムで臨む豪州戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■32年ぶりとなる中東での試合

 連覇を目指すワールドカップ・カタール大会、フランスにとって中東での試合はサッカーの世界では欧州となっているイスラエルを除くと、1990年1月のクウェート遠征がこれまで唯一の経験である。ワールドカップイタリア大会の予選で敗退したフランスの再生への第一歩となった遠征である。イタリア大会の予選中に就任したミッシェル・プラティニ監督が続投、クウェート、東ドイツに連勝し、1992年の欧州選手権へのステップとなった。また、この遠征のメンバーには現在のディディエ・デシャン監督も選手として出場、東ドイツ戦では得点も記録している。

■4バックシステムを採用した初戦の豪州戦

 11月22日の初戦、アル・ワクラにあるアル・ジャヌーブ競技場で豪州と戦う。4年前のロシア大会の初戦と同じカードとなる。
 フランスは4-2-3-1システムを採用する。メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ダヨ・ウパメカノ、イブラヒマ・コナテ、ルカ・エルナンデス、MFは低い位置の右にアドリアン・ラビオ、左にオーレリアン・チュアメニ、攻撃的な位置は右にウスマン・デンベレ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、左にキリアン・ムバッペ、1トップのFWはオリビエ・ジルーという陣容である。
 フランスが試合をするのは9月25日のUEFAネーションズリーグのデンマーク戦以来のことである。ワールドカップの初戦前に2月近く試合をしなかったという極めて異例のスケジュールであると言える。9月には25日のデンマーク戦以外に22日にオーストリアと試合を行い、本連載の第3068回から第3074回でこの2試合は紹介したが、いずれも3バックシステムで臨んでいる。フランスは6月以降、3バックか4バックかで模索を続けてきた。

■6月の4連戦中に3バックシステムから4バックシステムに変更

 フランスは昨年来3バックで試合を進めてきたが、転機となったのは6月のネーションズリーグの4試合である。3日に行われた初戦のスタッド・ド・フランスでのデンマーク戦、フランスは3バックで臨み、1-2と敗れ、さらに3バックの中心であるラファエル・バランが負傷した。バランが不在となった残り3試合は4バックシステムに切り替えた。アウエーのクロアチア、オーストリアとの連戦、最後はホームでクロアチアと対戦したが、6月の4試合で2分2敗と勝利をあげることができず、憂鬱な夏を迎えることになった。

■3バックシステムに戻した9月はデンマークに敗れる

 9月のオーストリア戦とデンマーク戦は3バックに戻し、オーストリアには勝利したが、ワールドカップでも対戦するデンマークには敗れた。
 そして、2か月ぶりの試合となるワールドカップ初戦では4バックシステムに戻したのである。豪州戦に先発した4人のDFのうち、4バックで臨んだ6月の3試合に出場した選手はパバール、コナテの2人だけである。他に出場したのはジュール・クンデ、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、ウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデスであった。
 4バックの中央を固めるのはバランとキンペンベという構想は崩れている中でのキックオフとなる。その代わりに中央を守るのは6月に代表にデビューしたばかりのコナテ、フランス代表では4バックの経験の乏しいウパメカノのコンビである。
 一方、攻撃陣もカリム・ベンゼマの不在により、ジルーの1トップとなったが、ムバッペ、グリエズマン、デンベレと経験のあるメンバーがそろった。
 先発の11人のうち、4年前のワールドカップの豪州戦にも先発していたのはGKのロリス、両サイドDFのパバールとルカ・エルナンデス、攻撃陣のムバッペ、グリエズマン、デンベレとなる。つまり、負傷者が多発したストッパー陣、守備的MFは前回の豪州戦に出場していないだけではなく、これが初めてのワールドカップとなるのである。

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