第3099回 豪州戦で始まるワールドカップ(3) ティエリー・アンリと並んだオリビエ・ジルーの2ゴールで豪州に勝利

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4年前の先発メンバーが4人そろった豪州

 4年前のロシア大会でも初戦で対戦したフランスと豪州、王者となるフランスは2-1と辛勝であった。今回豪州は5大会連続6回目の出場であるが、大陸間プレーオフでペルーを下した勝負強さはフランスにとっては侮れない。
 豪州の先発メンバーはGKはマシュー・ライアン、DFは4人、右からナサニエル・アトキンソン、ハリー・サウター、カイ・ロウルズ、アジス・ベヒッチ、守備的MFは1人でアーロン・ムーイ、攻撃的MFは右にジャクソン・アーバイン、左にライリー・マグリー、FWはミッチェル・デュークを中心に、右にマシュー・レッキー、左にクレイグ・グッドウィンである。日本の皆様はファジアーノ岡山に所属するデュークはよくご存じであろう。またアルビレックス新潟のトーマス・デンはベンチスタートとなる。この中で4年前の試合にも先発したのはライアン、ベヒッチ、ムーイ、レッキーの4人でいずれも30歳以上である。

■豪州が先制、ルカ・エルナンデス負傷退場

 試合はフランスのキックオフで始まったが、初戦ということで両チームとも動きが硬い。フランスは開始早々にCKのチャンスを得たが、ウスマン・デンベレのCKは簡単に跳ね返されてしまう。9分、豪州は最後方のサウターが前方にフィード、右サイドを走り込んだレッキーがフランスの左サイドDFルカ・エルナンデスと接触しながら、左サイドにクロスをあげる。ここにいたのがグッドウィンである。グッドウィンが左足を振り抜いたシュートはフランスのGKウーゴ・ロリスの頭上、バーの下を突き抜け、先制点となった。ロシアのカザンで大魚を逃した豪州は歓喜の輪となったのであるが、接触プレーで倒れたレオ・エルナンデスは立ち上がることができない。長い中断の末、弟のテオ・エルナンデスが交代出場したが、この時点で1人選手交代枠を使い、1点を追うことになった。

■アドリアン・ラビオ、同点弾、逆転アシストの大活躍

 反撃するフランスは、19分にはキリアン・ムバッペとデンベレがゴール前でパスをつなぎ、攻撃陣の連携が生まれるが、1トップのオリビエ・ジルーはここまでほとんどボールを触ることができない。フラストレーションのたまる中で、これを打開したのが交代してきたテオ・エルナンデスであった。左サイドからゴール前にクロス、ここにと飛び込んだのがアドリアン・ラビオ、ヘディングで合わせてフランスは同点に追いついた。この同点ゴールでフランスは本来の姿を取り戻した。フランスは攻勢に出て、豪州がCKに逃れるというシーンが繰り返される。29分にはラビオのクロスにようやくジルーがヘディングで合わせてシュート、枠をとらえることができなかったが、これはジルー爆発の前兆であった。32分にはムバッペが左サイドから高速ドリブルでペナルティエリア内に突入、中央にフリーで走り込んできたジルーにパス、ジルーが右足で逆転ゴールを決めた。36歳のジルーはこれで代表通算50得点となった。

■オリビエ・ジルー、代表通算51ゴールでトップに並ぶ

 逆転したフランスは余裕を持って試合を進める。45分にはムバッペが得点機で決められず、アディショナルタイムにはアーバインのシュートがポストに救われるというシーンもあったが、にこやかな表情でハーフタイムを迎えたのである。
 後半もフランスがボールを支配し、パスをつないで豪州を翻弄する。50分にはテオ・エルナンデスのゴール前のクロスに対し、ジルーがアクロバットなボレーシュートでゴールを狙うが、惜しくも外れる。
 68分には右サイドからの攻撃で得点が生まれる。デンベレがゴール前にクロス、これを豪州のセンスと競り合ったムバッペがヘディングで3点目を決めた。この歓声が静まらない71分、左サイドをドリブルで駆けあがったムバッペはゴール前にクロス、これをジルーが豪快に決めて4-1となり、豪州を返り討ちしたフランスは勝ち点3を獲得した。
 この日2点を決めたジルーは代表通算得点が51となり、ティエリー・アンリと並んでトップになった。ワールドカップは最大7試合、ジルーはカタールの地で記録を更新することができるであろうか。(この項、終わり)

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