第3105回 グループリーグ最終戦はチュニジアに敗戦 (3) オフサイドの新解釈でゴールが取り消し、初黒星

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■ワールドカップ、欧州選手権で無敗を続けるフランス

 すでに決勝トーナメント進出を決め、第1戦、第2戦と大きく先発メンバーを変えたフランス、これまでの2試合のような展開にならないとはある程度覚悟していたが、非常に厳しい内容と結果となった。
 前回大会優勝のフランスは1年延期されて昨年開催された欧州選手権では決勝トーナメントの初戦でスイスに敗れているが、これはPK負け、記録上では引き分けである。フランスは6年前の欧州選手権の決勝でポルトガルに負けたのを最後に、ワールドカップと欧州選手権ではこれまで13戦連続で負けておらず、これは1996年の欧州選手権から2000年の欧州選手権にかけて記録した数字と同じである。チュニジアに引き分け以上であれば記録更新となるところであった。

■チュニジアが立ち上がりから攻め、守勢一方となったフランス

 11月30日18時、エデュケーション・シティ競技場で上から下まで白いユニフォームのチュニジアのキックオフで試合が始まった。キックオフ直後からチュニジアは青いユニフォームのフランスを圧倒する。チュニジアの組織的な攻撃の前にフランスは自陣からなかなか抜け出すことができない。5分にはチュニジアがこの試合最初のCK、このピンチにフランス代表史上最年長として出場したスティーブ・マンダンダがパンチングで逃れるが、自陣での戦いは続く。アニス・ベンスリマネ、モハメド・ベンロムダン、ワフビ・ハズリという攻撃陣が躍動する。今年1月にアフリカ選手権での敗戦を受けてジャレル・カドリが監督に代わってからのチュニジアの攻撃陣は6月にキリンカップで優勝したことから日本の読者の皆様もよくご存じであろう。キリンカップに出場していなかったハズリが戻ってきてパワーアップした。
 8分にはハズリのFKからフランスのディフェンスラインの裏側に抜け出したナデル・カンデリがボレーでシュート、ゴールネットを揺らすが、オフサイドの判定でノーゴール、フランスは救われる。13分にもハズリが攻めこんでイブラヒマ・コナテに倒され、PKをアピールするが認められず、大挙したチュニジアのファンからのブーイングが最高潮に達する。
 フランスが初めてチュニジアのゴールを襲ったのは15分、ランデル・コロムアニが攻め込んでCKを獲得するが、マテオ・ゲンドウジの蹴ったボールに誰も反応できず、チャンスを活かせない。低い位置でしかボールを保持できず、押し込まれた形となる。両チーム無得点のまま前半が終わり、フランスは、前半終盤こそチュニジアのゴール前に迫ったが、前回覇者の面影はなくロッカールームに戻る。

■主将ワフビ・ハズリの魂のゴールでチュニジアが先制

 後半に入り58分、フランスは中盤でフォファナがボールを奪われ、チュニジアの主将ハズリがフランスの守備陣の間をドリブルで突破し魂のシュート、この試合が代表デビュー戦となるアクセル・ディザジのタックルも及ばず、チュニジアが先制する。
 この5分後からフランスは積極的に選手交代、ウィリアム・サリバ、キングスレー・コマン、キリアン・ムバッペを投入する。さらにその5分後にはアントワン・グリエズマンも出場、ディディエ・デシャン監督の顔色が変わる。

■オフサイドの新解釈で取り消しとなったアントワン・グリエズマンのゴール

 タレントの個人技でフランスはチャンスを作り出す。またチュニジアが引き気味になったこともあり、フランスの攻撃が目立つようになるが、なかなかフランスは同点に追いつくことができないまま、後半アディショナルタイムが8分と発表される。アディショナルタイムは攻めるフランス、守るチュニジアの時間となった。フランスは左サイドでエドゥアルド・カマビンガからパスを受けたオーレリアン・チュアメニがゴール前にクロス、これをグリエズマンが右足でボレーシュート、ネットを揺らし、歓喜するフランス、落胆するチュニジア、フランスは無敗記録を更新したかに思われた。しかし、ゴールの歓喜からかなり時間がたってから、オフサイドと判定され、ゴールは取り消しとなった。昨年のUEFAネーションズリーグ決勝のムバッペのゴールを機に、今夏から新解釈がなされ、直前のチュニジアの選手がボールに触れたプレーは意図的なプレーでない、ということでオフサイドと判定されたのである。(この項、終わり)

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