第3107回 ポーランドを下してベスト8入り (2) 復活のラストチャンスに賭けるロベルト・レバンドフスキ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスサッカーの恩人、ポーランド

 フランスの決勝トーナメント1回戦の相手はポーランドであるが、ポーランドにルーツを持つフランスのサッカー関係者は多い。例えば1958年のワールドカップ、この大会はアルベール・バトー監督に率いられ、当時としては最高の3位に輝いた。このチームのメンバーは北部のクラブの選手を中心に構成されたチームであったが、ベルギー国境に近い炭鉱で働くポーランドからの移民やその子弟がサッカー選手として活躍した。その代表がコパことレイモン・コパゼフスキーであろう。現役選手であればレイバン・クルザワ、フランスのアンダーエイジの代表監督を務めて多くの若手選手を育成したピエール・マンコウスキー、引退したばかりの選手としてはローラン・コシエルニーもポーランド系である。

■復活のラストチャンスにかける大黒柱のロベルト・レバンドフスキ

 フランスサッカーの恩人ともいうべき存在のポーランドであるが、東西冷戦時代の1970年代から1980年代には輝ける栄光を残したが、東欧の自由化とともに国際舞台から遠ざかった。2000年代に入り、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会、2018年ロシア大会は本大会出場を果たしたものの、いずれもグループリーグで敗退している。欧州選手権は2008年大会が初出場となる。ウクライナとの共同開催となった2012年大会も含め、昨年の2021年大会まで4大会連続出場している。
 今世紀に入って、国際大会の本大会の出場枠が増えたこともあり、本大会の出場機会は増えたが、これら7回の挑戦のうち、グループリーグを突破できたのは準々決勝の進出した2016年の欧州選手権だけである。低迷期から脱したとは言い切れないであろう。 低迷から脱し切れていないポーランドのサッカーにとってラストチャンスと言えるのが今大会であろう。それは大黒柱のロベルト・レバンドフスキの最後の国際大会となる可能性が高いからである。CFのレバンドフスキは、まだ国内のレフ・ポズナンに所属していた20歳の時に代表にデビュー、それ以来、代表では131試合、69得点というポーランドのサッカー史上でナンバーワンの成績を残し、現在はチームの主将である。また、所属クラブもボルシア・ドルトムント、バイエルン・ミュンヘン(以上ドイツ)とビッグクラブで活躍し、今夏はスペインのバルセロナに移籍、ここでもゴールを量産している。

■プレーオフを勝ち抜いて本大会に出場したポーランド

 ポーランドは欧州予選ではグループIでイングランドに次いで2位となり、プレーオフに進む。プレーオフの準決勝はノーシード扱いでシード国のロシアと対戦する予定であったが、ウクライナ侵攻したロシアが失格となり、決勝に進む。決勝ではスウェーデンとホームで対戦、レバンドフスキのPKで先制し、2-0と勝利して連続出場を決めた。レバンドフスキは予選で9試合に出場し、9得点をあげている。本大会に入ってもグループリーグ第2節のサウジアラビア戦で1ゴールをあげているが、このゴールでポーランドは得失点差で決勝トーナメントに進出できたのである。

■注目のGKボイチェフ・シュチェスニ、フランス育ちのグジェゴシュ・クリホビアク

 40年ぶりにワールドカップでフランスと対戦するポーランドの先発メンバーであるが、GKはボイチェフ・シュチェスニ、DFは右からマティ・キャッシュ、カミル・グリク、ヤコブ・キウィアー、バルトシュ・ベレシンスキ、MFは低い位置にグジェゴシュ・クリホビアク、高い位置に4人が並び、右からヤクブ・カミンスキ、ピオトル・ジーリンスキ、セバスティアン・シマンスキ、チェミスワフ・フランコフスキ、FWは1人、レバンドフスキである。
 この中で本連載の読者の方がご存じなのがクリホビアクであろう。ポーランド生まれであるが、16歳以下のポーランド代表となり、ストラスブールでフランスと対戦した際に、ボルドーの下部組織の指導者の目に留まり、そのままボルドーの下部組織に入り、フランスでプロとしてキャリアを重ね、スタッド・ド・ランス、パリサンジェルマンなどで活躍した。
 そしてGKのシュチェスニはイングランドのアーセナル、イタリアのユベントスというビッグクラブで活躍している。
 最前線と最後尾に逸材の控えるポーランドにフランスはどのように立ち向かうのであろうか。(続く)

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