第3108回 ポーランドを下してベスト8入り (3) 代表最多得点を更新したオリビエ・ジルーの先制点

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■デンマーク戦と同じメンバーで臨む決勝トーナメントの初戦

 決勝トーナメント1回戦のポーランド戦はグループリーグ最終戦のチュニジア戦の敗戦から中3日、フランスは以下のメンバーで決勝トーナメントの初戦に臨む。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニ、高い位置には右にアントワン・グリエズマン、左にアドリアン・ラビオ、FWは中央にオリビエ・ジルー、右にウスマン・デンベレ、左にキリアン・ムバッペという布陣である。攻撃陣のポジションに変更はあるが、グループリーグ第2戦のデンマーク戦と同じメンバーである。ルカ・エルナンデスを負傷で欠き、バンジャマン・パバールの動きが思わしくなく、そしてバランが負傷からカムバックしてきた、この布陣で難敵デンマークを倒した自信はチュニジア戦の敗戦によっても揺るがなかったということであろう

■両サイドから攻撃を仕掛け、オリビエ・ジルーがメモリアルゴールで先制

 自信を持って試合に入ったフランスは序盤から主導権を握る。テオ・エルナンデスとムバッペの左サイド、クンデとデンベレの右サイド、両側からフランスは前進し、ゴール前にクロスをあげる。フランスはシュートの精度もよいが、そこに立ちはだかったのがポーランドのGKボイチェフ・シュチェスニであり、なかなか得点をあげることができない。 一方のポーランドは中盤でフランスの守備陣の抵抗にあってゴール前まで迫ることができず、エースのロベルト・レバンドフスキにボールを供給することができない。レバンドフスキがこの試合で最初にシュートを放ったのは21分まで待たなくてはならなかったが、ゴールの枠のすぐ外をかすめ、エースらしいシュートであった。
 ポーランドは40分に近くなったところでフランスに対して波状攻撃、ロリスがセーブしたこぼれ球をシュートされたが、バランがゴールライン上でクリアする。
 そしてフランスが先制点をあげたのは44分、左サイドのムバッペからの後方からのパスをジルーが左足でシュート、シュチェスニの壁を破ってネットが揺れた。ジルーはこれで代表通算52ゴール、ティエリー・アンリを抜いて単独首位となった。

■キリアン・ムバッペの2ゴールで試合を決める

 メモリアルゴールで勢いづいたフランスは後半の立ち上がり早々にもグリエズマンがFKを直接狙い、シュチェスニがパンチングで逃れたボールをテオ・エルナンデスがシュート、これは枠を外れた。57分にはCKからジルーのアクロバティックなシュートが決まったが、オフサイドによりノーゴールとなる。フランスは優勢に試合を進めているとは言っても1点差、追い付かれた場合は、延長、PK戦もあるのが決勝トーナメントである。シュチェスニは今大会で2度のPKをいずれもストップしており、PK戦を得意としていることから、2点のリードが欲しいところである。
 追加点は73分に生まれた。左サイドでフリーとなったムバッペに右サイドからパスが通。ポーランドの守備陣が2人いたが、見事にシュートを決める。さらにムバッペは、90分には、交代出場してきたマルクス・テュラムからのパスをペナルティエリア内で受けてそのままシュート、今大会5ゴール目をマークし、試合を決定づけた。

■ウーゴ・ロリス、リリアン・テュラムと並ぶ142試合出場

 一方のポーランドは後半アディショナルタイムの96分、ウパメカノのペナルティエリア内でのハンドにより、PKを獲得する。レバンドフスキが蹴るが、これをロリスがストップしたものの、ロリスの足がゴールライン上になかったということでPKがやり直しとなる。2度目のPKでレバンドフスキは成功させ、ポーランドが1点返し、試合終了となる。
 最後のPKをストップすることはできなかったものの、勝利に貢献したロリスはこの試合が代表出場142試合目となり、リリアン・テュラムと並んで最多出場の記録となった。12月10日の準々決勝のイングランド戦で最多記録更新の期待がかかるのである。(この項、終わり)

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