第3116回 モロッコに勝利、決勝へ (3) アフリカ勢で最初の準決勝進出となったモロッコ

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■優勝候補のベルギーを破ったモロッコ

 7月に代表チームのバヒッド・ハリルホジッチ監督を解任し、8月末にワリド・レグラギ監督が就任したモロッコは不安の中でのカタール入りとなったが、快進撃を続ける。グループFは世界ランキング2位のベルギーが一番手、それに続くのが前回準優勝のクロアチア、モロッコはこれらを追う3番手と目されていた。モロッコは第1戦でクロアチアに対し、守備を固め、クロアチアの攻撃陣を完封、第1戦らしいスコアレスドローとなる。
 モロッコの第2戦の相手のベルギーは第1節でカナダに1-0と勝利している。モロッコ戦に勝利して一気に決勝トーナメント進出を決めたいところであった。しかし、思わぬ結果となる。前半からベルギーが試合を支配するが、モロッコは守備を固めてカウンター勝負に出る。前半終了間際にモロッコはハキム・ジエシュが密集からシュート、ネットを揺らすがVARの判定の結果、ノーゴールとなる。後半は両チームとも積極的に攻撃に出る。73分にモロッコはロマン・サイスが先制点をあげる。慌てたベルギーはエースのロメル・ルカクを投入するが、攻め続けたモロッコはアディショナルタイムにザカリア・アブクラルが追加点、優勝候補相手に2-0と勝利した。

■グループリーグを首位通過したモロッコ

 モロッコは、ワールドカップの本大会での24年ぶりの勝利によって、最終戦でカナダ相手に引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。前半4分にジエシュが先制点、23分にもヨースフ・エンシネリが追加点をあげる。後半はカナダが盛り返し、モロッコはオウンゴールを許したが、モロッコが2-1で勝利する。もう1試合のクロアチア-ベルギー戦が引き分けに終わったため、モロッコが首位突破、2位突破がクロアチアとなり、タレント集団で優勝候補のベルギーはグループリーグで敗退となった。

■決勝トーナメント1回戦ではスペインにPK戦で勝利

 決勝トーナメント1回戦の相手はグループEで2位のスペイン、第1シードの国で首位突破が果たせなかったのはグループAの開催国のカタール、モロッコがグループリーグ敗退に追いやったグループFのベルギー、そしてグループEのスペインの3か国である。モロッコとスペインは地中海をはさみ、政治的・経済的につながりの強い両国である。モロッコのアクラフ・ハキミはスペインのマドリッド生まれ、レアル・マドリッドの下部組織育ちである。ボールポゼッションに長けたスペインは一方的にボールを支配するが、モロッコの守備を崩せない。モロッコは両サイドのハキミとソフィアン・ブファルからの攻撃に活路を見出すが、スペインからゴールを奪うには至らない。試合は延長に入り、選手交代も相次いだが、両チームの力関係は変わらず、120分間の熱闘は両チーム無得点となり、PK戦となる。
 PK戦はモロッコが先蹴、1人目のアブデルハミド・サブリ、2人目のジエシュが成功させたが、後蹴のスペインは1人目のパブロ・サラビアはポスト、2人目のカルロス・ソレールはモロッコのGKのヤシン・ブヌにセーブされ、パリサンジェルマンの2人が連続して失敗した。3人目両チームとも失敗する。モロッコの4人目はパリサンジェルマンのハキミ、かつてマドリッドでしのぎを削ったウナイ・シモンの守るゴールネットを揺らし、モロッコがスペインを下してベスト8入りした。

■ユセフ・エンネシリの驚異のヘディングシュートでポルトガルに勝利

 モロッコの準々決勝の相手はポルトガルである。12月10日に行われた試合、この試合もスペイン戦同様、モロッコは守勢一方となり、ブロックを作ってポルトガルの攻撃をしのぐ。ポルトガルはエースのクリスティアーノ・ロナウドがベンチスタートとはいえ、迫力十分の攻撃である。しかし、先制点はモロッコであった。前半の42分に左サイドからクロスがゴール前に上がる。軌道が高すぎ、GKにキャッチされるかと思われたが、エンネシリが驚異的なジャンプ力でヘディングシュートを決める。ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドを投入して反撃を試みるが、ポルトガルも撃破、アフリカ然として初めて準決勝に進出したのである。(続く)

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