第3118回 モロッコに勝利、決勝へ (5) 過去の対戦成績はフランスの3勝1分1PK負け

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■モロッコとの初めての対戦は1988年のフランストーナメント

 1970年ワールドカップメキシコ大会のアフリカ二次予選でマルセイユでチュニジアと試合をしたモロッコ代表であるが、フランス代表との試合は1988年まで待たなくてはならない。
 フランスがアフリカのチームと初めて試合をしたのは1972年にブラジルでおこなわれたインデペンデントカップのことである。これはブラジル独立150年を記念して行われた大会で、アフリカ選抜として出場し、フランスが2-0と勝利しているが、この時のアフリカ選抜にモロッコ人選手はいなかった。その後フランスは1978年にチュニジアと対戦、これが代表チームとの最初の試合となる。
 1988年の欧州選手権予選で敗れたフランスは1988年2月にフランストーナメントを開催し、スイス、オーストリア、モロッコを南仏に招く。これはトーナメント形式で行われ、モロッコは準決勝でBチームを派遣してきたオーストリアを下す。フランスは準決勝でスイスを下し、決勝でモロッコとモナコのルイ二世競技場で対戦した。ヤニック・ストピラの決勝点でフランスが2-1と勝利する。

■1998年から3年連続して対戦したフランスとモロッコ

 フランスとモロッコの2回目の対戦はその10年後の1998年、ワールドカップフランス大会の直前の5月に行われた。ワールドカップに出場するモロッコは同じく本大会出場国のフランス、イングランド、ベルギーをカサブランカに招いて第2回のハッサン二世杯を開催した。変則的なリーグ戦であり、フランスはベルギーとモロッコと対戦した。フランスはベルギーに勝利し、モロッコとの戦いはモロッコが2たび先行し、フランスはローラン・ブランとユーリ・ジョルカエフのゴールで追いつく。同点の場合はPK戦が行われ、モロッコが勝利した。
 フランスとモロッコはその翌年の1月にマルセイユで親善試合を行う。ワールドカップ予選のチュニジア戦から30年、モロッコがベロドロームに戻ってきた。フランスはジョルカエフが得点をあげて1-0と勝利した。
 さらにフランスはモロッコと2000年のハッサン二世杯でも対戦した。この大会には日本も出場したことからよくご記憶であろう。準決勝で日本はフランスと対戦、森島寛晃と西澤明訓が得点をあげてフランスを追いつめたが、フランスもジネディーヌ・ジダンとジョルカエフが得点をあげ、2-2となり、結局PK戦で敗れてしまう。決勝でフランスが対戦したのは、準決勝でジャマイカを4-0と一蹴したモロッコである。決勝であったが、欧州選手権を控えていたフランスのロジェ・ルメール監督は日本戦とはメンバーを大幅に入れ替えてこの試合に臨んだ。フランスは序盤からゴールラッシュで5-1と勝利する。3年連続の対戦となったが、現在の代表監督のディディエ・デシャンは選手としてこの3試合すべてに出場している。

■初対戦時のフランスの監督がモロッコの監督として対戦した2007年

 最後にフランスとモロッコが対戦したのが2007年11月、ついにモロッコはスタッド・ド・フランスに登場する。さらにモロッコの監督は1988年の初対決の際にフランスの監督だったアンリ・ミッシェルということで注目を集め、7万8000人の観客が集まった。この試合はモロッコが先制し、フランスが逆転したが、追い付かれて2-2で引き分けた。なお、この試合でフランスはカリム・ベンゼマとリリアン・テュラムが出場している。つまりベンゼマはテュラム親子とともにフランス代表として戦ったのである。

■ワールドカップ開催をめぐってフランスと争った1998年大会

 ここまでのフランスとモロッコの対戦成績はフランスの3勝1分1PK負けであるが、番外編がある。それは1998年ワールドカップの開催国をめぐる争いである。この時の最終候補に残ったのがフランスとモロッコであった。1992年7月2日に行われた投票の結果、フランス12票、モロッコ7票でフランスが1938年以来60年ぶり2回目のワールドカップを開催することになった。なお、モロッコは1994年大会も立候補し、米国に次いで2位、2大会連続で開催国を逃している。その後も2006年大会、2010年大会、2026年大会にも候補しているが、今日に至るまでワールドカップを開催していないのである。(続く)

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