第3119回 モロッコに勝利、決勝へ (6) 堅守のモロッコから2得点、2大会連続の決勝進出
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■アフリカ勢とはワールドカップで3勝3敗のフランス
決勝進出をかけてフランスはモロッコと対戦する。これまでのワールドカップの歴史をひもとくと、決勝トーナメントでフランスが欧州、南米以外のチームと対戦するのはこれが2回目、2014年大会の1回戦でナイジェリアに2-0と勝利して以来のことである。
フランスはこれが7回目の準決勝、1958年大会、1982年大会、1986年大会と最初の3回は敗退したが、1998年大会、2006年大会、2018年大会とその後の3回ではいずれも決勝に進出している。アフリカ勢初の準決勝進出を決めたモロッコは波に乗り、カタール在住のモロッコ人に加え、モロッコから大挙したファンで会場は埋め尽くされ、赤い波の中で青の集団は劣勢である。実はフランスはワールドカップでアフリカ勢と対戦したのは2002年の韓国でのセネガル戦が最初であり、この試合を落としたが、実は3勝3敗と戦績はそれほど良くない。
■チーム内に体調不良者が相次ぐフランス
さらにフランスには不安要素があり、チーム内で風邪がはやり、ダヨ・ウパメカノとアドリアン・ラビオが欠場する。フランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、イブラヒム・コナテ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニとユセフ・フォファナ、高い位置のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWは中央にオリビエ・ジルー、右にウスマン・デンベレ、左にキリアン・ムバッペというメンバーで、デンマーク戦、イングランド戦と2人が入れ替わっただけのメンバーとなった。
一方のモロッコ、ここまでオウンゴール1失点のみという守備重視の布陣で、GKはヤシン・ボノ、DFは右からアクラフ・ハキミ、アクラフ・ダリ、ロマン・サイス、ジャワド・エルヤミク、ヌサイル・マズラウィ、MFはハキム・ジエシュ、ソフィアン・アムラバト、アゼディン・ウナヒ、ソフィアン・ブファル、FWはヨースフ・エンスネリである。注目は右サイドDFのハキミ、今夏のパリサンジェルマンの日本ツアーでも注目を集めたが、フランスン左サイドのムバッペはパリサンジェルマンのチームメイト、対決が楽しみである。ハキミ以外にダリ、ウナヒ、ブファルがフランスのクラブに所属しているが、マルセイユのアミン・アリが負傷のためワールドカップに出場できなかったのは残念である。
■今大会初めてモロッコから先制点を奪ったフランスのテオ・エルナンデス
モロッコのキックオフで始まった試合は序盤から動いた。5分にグリエズマンがドリブルで右サイドからペナルティエリアに入る。グリエズマンは中央のムバッペにパスをし、ムバッペはシュートするが、堅守のモロッコは数人がかりでムバッペのシュートを防ぐ、モロッコの守備陣にブロックされて左サイドにはねたボールを、テオ・エルナンデスがボレーシュート、ネットが揺れる。堅守のモロッコはオウンゴール以外で初めての失点、初の先制点献上となった。フランスは19分のジルーのシュートはポストに当たる。フランスが先制したことにより、モロッコが攻勢に出て、フランスはモロッコにボールを持たせて守る構図の試合となる。
そのモロッコが見せ場を作ったのは、前半終了間際の44分である。ジエシュのCKをジルーがヘディングでクリア、これをエルヤミクがオーバーヘッドでシュート、ポストを直撃して、さらにプレーは継続、最後はブファルのシュートが枠を外れた。
■出場後44秒で得点を決めたランデル・コロムアニ、アシストしたキリアン・ムバッペ
後半もモロッコがボールを支配し、フランスが守るという図式となったが、フランスはシュートまで攻撃をする能力に長けていた。79分、左サイドをドリブルで駆け上がった交代出場のマルクス・テュラムは中央のムバッペにパス、ムバッペはまたもモロッコの複数の選手に囲まれていたが、狭いところをドリブルですり抜け、右前方にパスを出す。ここに走り込んできたのが同じく交代出場のランデル・コロムアニであった。コロムアニはゴールを決め、2-0としてフランスが勝利し、2大会連続の決勝進出を決めた。なお、コロムアニは出場後44秒で得点をあげ、これはワールドカップ史上3番目に早い得点なのである。(この項、終わり)