第2710回 パリサンジェルマン、初の決勝進出 (1) クラブ創設10年強で準決勝に進出したRBライプチヒ

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■独仏対決となった準決勝2試合

 史上初めてフランス勢が準決勝に2チームが進出したチャンピオンズリーグ、これまでパリサンジェルマンもリヨンも決勝に進出したことはないが、にわかにフランス勢同士の決勝戦への期待が高まった。
 準決勝は18日にパリサンジェルマンがRBライプチヒ、19日にリヨンがバイエルン・ミュンヘンといずれもドイツ勢と対戦する。
 先に決勝にチャレンジするパリサンジェルマンは準々決勝に続き、ルッス競技場での対戦、相手のRBライプチヒとはこれが初めての対戦となる。 パリサンジェルマンはちょうどこの8月にクラブ創立50周年を迎え、RBライプチヒは2009年に設立、欧州の歴史から見れば、異例の新興チーム同士の戦いとなった。特にRBライプチヒはブンデスリーガの1部に昇格したのは2016年のことである。1部リーグの4シーズン目にしてチャンピオンズリーグの準決勝進出である。

■ルッス競技場でベンフィカに勝利、第4シードからグループリーグを首位突破

 ここまでのRBライプチヒの戦いを振り返ってみよう。昨季の国内リーグの3位として本選から出場したが、これまでの実績に乏しく、第4シードとなる。パリサンジェルマンは準々決勝のアタランタ(イタリア戦)に続いて、準決勝でも第4シードのチームと対戦するのである。グループリーグではリヨンと同じグループGで戦ったことから本連載ではその戦いぶりを紹介してきた。リヨンはアウエーで勝利、ホームで引き分けとなったが、最終順位はRBライプチヒが勝ち点11で首位、リヨンは勝ち点8で2位通過となっている。また、このグループGは第1シードのゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)、第2シードのベンフィカ(ポルトガル)がいずれも敗退する。さらに第4シードのRBライプチヒが首位、第3シードのリヨンが2位、第2シードのベンフィカが3位、第1シードのゼニト・サンクトペテルブルクが最下位とシード順と最終順位が完全に逆転した。また、グループリーグで勝ち点11で首位というのはグループHのバレンシア(スペイン)と並んで最も少ない勝ち点である。
 注目すべきはこの波乱のグループリーグの第1節でRBライプチヒはベンフィカとこのルッス競技場で対戦し、2-1と勝利していることである。この試合、RBライプチヒは後半にエースのティモ・ベルナーが2得点をあげ、ベンフィカの反撃を1点に押さえて勝ち点3を獲得している。

■トットナム・ホットスパーを下し、ファイナル8へ

 年が明けて、決勝トーナメントではイングランドのトットナム・ホットスパーと対戦する。グループBでバイエルン・ミュンヘンに次いで2位となったトットナム・ホットスパーに対し、2月19日にロンドンで行われた第1戦ではベルナーのPKによる1点を守り切り、アウエーで先勝する。3月10日にホームで行われた第2戦でも3-0と勝利し、ベスト8入りした。

■アトレチコ・マドリッドを下し準決勝進出

 そして、ファイナル8による準々決勝、11か月ぶりにリスボンでの試合となり、スペインのアトレチコ・マドリッドと対戦した。下馬評としては決勝トーナメント1回戦でイングランドのリバプールに競り勝ったアトレチコ・マドリッドが優位であったが、ミラクルチームの奇跡は続いた。
 前半は両チーム無得点で折り返したが、後半に入って51分にダニ・オルモがヘディングシュートで先制点をあげる。バルセロナの下部組織出身で、長年クロアチアのディナモ・ザグレブでプレーし、今季RBライプチヒに移籍してきたスペイン代表の選手である。PKで追いつかれるが、終盤の87分、タイラー・アダムスが決勝点をあげる。アダムズは米国のニューヨーク・レッドブルズから移籍してきた米国代表の選手であるが、移籍後初ゴール、そして米国人としてチャンピオンズリーグの準決勝以上で初めて得点をあげ、準決勝に進出したのである。(続く)

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