第2211回 デビュー戦で活躍したネイマール、出場機会のないウェスレイ・スナイデル

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ネイマールのデビュー戦を控え、アウエーで勝利したギャンガン

 前々回と前回の本連載ではフランスリーグの開幕戦を取り上げた。開幕戦そのものよりも注目を集めたのが、ネイマールのパリサンジェルマンへの移籍である。
 フランスリーグ史上最高の選手となるかもしれないネイマールは、第1節には出場しなかったが、第2節の8月13日に行われたアウエーのギャンガン戦でフランスサッカー界にデビューした。ネイマールのパリサンジェルマン移籍についてはフランス中を揺るがす騒ぎとなったが、第1戦の出場が見送られ、ギャンガンのイレブンはネイマールのデビュー戦をホームで迎えるとあって、モチベーションが高まった。ギャンガンの第1戦はアウエーのメッス戦、メッスのGKが川島永嗣ではなかったこともあり、易々と得点を連取し、3-1で勝利、第1節で唯一アウエーで勝利をあげたチームとなった。

■18,378人が歴史の証人となったネイマールのデビュー戦

 ギャンガンの本拠地ルードルー競技場の収容人員はわずか1万8000人強、歴史の証人となったのは18,378人だけであった。しかし、この試合は世界183カ国で放映された。フランスリーグの試合がこれほど世界で注目されたことはなかったであろう。ビジターチームのパリサンジェルマンは黄色いユニフォーム、ネイマールはデビュー戦はブラジル代表と同じ色のユニフォームを着用した。
 ネイマールは左ウイングの位置で先発、背番号はもちろん10である。注目のファーストタッチは開始30秒、スタジアム全体にどよめきが起こる。ギャンガンの監督はアントワン・コンブアレ、1993年のUEFAカップのレアル・マドリッド(スペイン)戦で歴史に残るヘディングシュートを決めたパリサンジェルマンのレジェンドである。世界が注目するこの1戦で古巣相手に一泡吹かせようとしたが、試合はパリサンジェルマンが終始支配する。ネイマールは前半だけで35本のパスを通したが、クロスは2本だけ、前半は両チーム無得点で折り返す。

■デビュー戦で1アシスト、1ゴールを決めたネイマール

 守りを固めたギャンガンであるが、52分に守備陣がボールコントロールを誤って自らのゴールに入れ、オウンゴールで失点する。ネイマールは62分にボールを持ち込み、ゴール前のエディンソン・カバーニに絶妙のパス、昨季得点王のカバーニはこれを難なく決めて、リードを広げる。
 そしてネイマールはデビュー戦で得点を記録する。82分にカバーニの左サイドからのクロスをニアポストで右足でシュート、ネイマールは1ゴール1アシストと大きな一歩をフランスサッカーに刻み込んだ。

■ニースに移籍したウェスレイ・スナイデル、2試合連続してメンバーから外れる

 このネイマールの移籍の直後に発表されたのが、トルコのガラタサライからウェスレイ・スナイデルのニースへの移籍であった。ネイマールに遅れること2日、8月6日にニースに到着する。33歳であるが、今なおオランダ代表であり、代表歴は131試合と同国史上最多を誇る。2010年のワールドカップの日本戦の一撃は今なお鮮明である。これまでに所属したチームはアヤックス・アムステルダム(オランダ)、レアル・マドリッド、インテル・ミラノ(イタリア)、ガラタサライとビッグクラブを歩んできた。
 古豪ニースは近年は復調し、新スタジアムのアリアンツ・リビエラの完成とともに選手補強を進め、イタリアのマリオ・バロテッリに次ぐ大物選手の獲得となった。
 33歳と峠を越しているとはいえ、ニースクラスのクラブが大物を獲得するケースは極めて珍しい。スナイデルのニース到着の前夜にニースはアウエーでサンテチエンヌに敗れており、第2節にホームで行われるトロワ戦にファンは期待したが、バロテッリとともにメンバーから外れる。ニースも元気なく、PKで1点を入れただけで1-2で昨季2部3位のトロワに敗れてしまい、連敗してしまい、昨季1部3位の姿はなかった。
 さらにニースはチャンピオンズリーグのプレーオフ第1戦を8月16日にナポリ(イタリア)とアウエーで戦ったが、スナイデルとバロテッリはまたメンバーから外れ、0-2と敗れ、これでリーグ開幕から3連敗を喫した。スナイデルとバロテッリの出場をニースのファンは待ち望んでいるのである。(この項、終わり)

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