第1589回 U-20ワールドカップで初優勝(8) ウルグアイをPK戦で下して初優勝、FIFA主催5大会で優勝

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝の相手はウルグアイ、16年前の雪辱なるか

 フランスはガーナに2-1と競り勝って、U-20ワールドカップで初めての決勝進出を果たした。気になるもう1つの準決勝はイラクとウルグアイがトラブゾンで対戦した。イラクは準決勝進出チームの中で唯一グループリーグを首位で通過している。イラクは前半の34分に先制し、そのまま逃げ切るかと思われたが、ウルグアイは87分に追いつく。延長では両チームとも得点がなく、PK戦に突入する。両チームとも最初のキッカーが失敗したが、その後は成功し続け、8人目で決着がつく。先蹴のイラクは8人目が失敗したのに対し、ウルグアイは8人目が成功、1997年大会以来2回目の決勝進出を決める。
 フランスとウルグアイはこのU-20ワールドカップでの対戦は1回だけ、1997年マレーシア大会の準々決勝、この時はPK戦でウルグアイが勝利している。そして記憶に新しいのは6月には兄貴分のフル代表が南米遠征でウルグアイを訪問、フランスは0-1と敗れている。16年前のPK負け、1月前のモンテビデオでの完封負けに雪辱を果たしたいところである。

■フランスを悩ますトルコのファンのブーイング

 ともに初優勝を狙うフランスとウルグアイの決勝戦はメイン競技場のイスタンブールのトルコテレコム競技場、フランスはグループリーグで3戦しているが、ウルグアイは決勝トーナメント1回戦のナイジェリア戦だけである。また、ウルグアイは準々決勝、準決勝と延長戦を戦い、フランスよりも60分間以上長く戦っている。
 ところが、今大会でフランスはブーイングに悩まされている。もちろん、決勝トーナメント1回戦で開催国トルコを破ったこともあるが、グループリーグの試合からフランスがブーイングを浴びている理由はフランスのニコラ・サルコジ前大統領がトルコの欧州連合加盟に対して否定的であったこと、そしてサッカーの世界では八百長疑惑によりフェネルバフチェとベジクタシュの2チームがUEFA主催のチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの出場資格を奪われたが、UEFAの会長がフランス人のミッシェル・プラティニであること、このような理由で若きフランス代表はどの試合でもブーイングを浴び続けながら決勝に進出した。

■フランスがボールを支配するが、シュート数ではウルグアイが圧倒

 フランスはGKはアルフォンス・アレオラ、DFはディミトリ・フルキエール、クルト・ズーマ、ナビー・サール、ルーカス・ディーニュ、守備的MFは主将のポール・ポグバとジョフレイ・コンドグビア、攻撃的MFはフローリアン・トーバン、ジョルダン・ブルトゥ、ジャン・クリストフ・バーエベック、FWはヤヤ・サノゴという布陣。
 今大会は観客動員が振るわず、平均5,000人、決勝戦にも2万人しか入らなかったが、見ごたえのある試合となった。ボール支配はフランスが圧倒的だが、シュート数はウルグアイがフランスのほぼ2倍、フランス守備陣の健闘の光る試合となった。特筆すべきはフルキエールがことごとくウルグアイのサイド攻撃を封じ、ポグバは驚異的なボールタッチの多さを誇る。さらにGKのアレオラも難しいシュートをさばく。しかしながら両チームとも無得点で延長戦に入る。準々決勝、準決勝はフランスの出場しない試合は4試合はすべて延長戦であったが、ついにフランスも今大会初めての延長戦を戦う。延長戦でもノーゴールが続く。

■アルフォンス・アレオラの活躍でPK戦を制し、FIFA主催5大会すべてを制す

 優勝の行方はPK戦に委ねられた。先蹴はフランス、ポグバが決める。2人目のブルトゥも成功。ウルグアイの1人目、2人目ともフランスのGKアレオラがストップする。フランスは3人目のアクセル・エンガンドが成功、ウルグアイはようやく3人目が成功させる。そしてフランスの4人目は守備で大活躍のフルキエール、ゴールポスト沿いに決めてフランスが初優勝。2013年7月13日、あのワールドカップ優勝から15年と1日、フランスはU-20ワールドカップを制した。
 なお、フランスはFIFAの主催するワールドカップ、コンフェデレーションズカップ、オリンピック、U-20ワールドカップ、U-17ワールドカップという11人制サッカーの世界大会すべてで優勝した初めての国となったのである。(この項、終わり)

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