第1712回 ブラジル入りの前の3試合(2) ノルウェーに快勝、好スタートを切ったフランス

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ブラジルを破って決勝トーナメントに進出したノルウェー

 ノルウェーは今大会の予選では欧州予選のグループEに入り、3勝3分4敗でスイス、アイスランド、スロベニアに次ぐ4位に終わっている。過去のワールドカップで本大会に出場したのは2回、1994年米国大会と1998年フランス大会だけ、そして欧州選手権も2000年のオランダ・ベルギー大会だけであり、今世紀に入ってからは予選突破の経験がない。
 しかし、1993年にはFIFAランキングで4位になったこともある。そしてフランスのファンにとって今なお記憶に残るのは1998年のワールドカップである。ノルウェーはグループリーグでグループAに入り、第1戦はモロッコと2-2、第2戦はスコットランドと1-1と2試合連続して引き分けて迎えた第3戦、前回優勝国のブラジルとマルセイユのベロドロームで対戦する。すでに決勝トーナメント進出を決めていたブラジル相手に2-1と勝利し、ノルウェーも決勝トーナメントに進出し、決勝トーナメント1回戦でイタリアと対戦し、クリスチャン・ビアリのゴールで0-1と惜敗している。

■ブラジルに2勝2分と負けなしのノルウェー

 実はこのグループリーグの最終戦がノルウェーはブラジルとの3回目の対戦、それまでの2回の対戦もノルウェーは1勝1分、そしてこのマルセイユでの勝利以降もノルウェーはブラジルと2006年にオスロでの親善試合で対戦して引き分け、つまりノルウェーは王国ブラジルと4回対戦して2勝2分と負けたことがないという成績を誇る。
 しかしながら、今回も本大会出場はならず、ブラジル行きは実現しなかったが、昨年の21歳以下の欧州選手権では3位に入る。今週から始まる2016年欧州選手権予選ではイタリア、クロアチア、ブルガリア、アゼルバイジャン、マルタと同じグループに入り本大会出場を目指す。欧州選手権予選を勝ち抜けば、18年ぶりのフランスでの本大会出場となる。

■ノルウェー戦の勝利を知らないディディエ・デシャン監督

 フランスとノルウェーはこれまで15回対戦し、フランスの6勝4分5敗、ワールドカップ南アフリカ大会直後の2010年8月11日以来の対戦となるが、この時の1-2の敗戦はフランスのメンバー構成の事情もあり、敗戦もやむを得ないが、その前は3試合連続で引き分け、1988年9月にパルク・デ・プランスで行われた1-0で勝利したのが最後である。フランスのディディエ・デシャン監督は1989年にフランス代表入りしている。つまり、デシャン監督が選手として代表チームに関わるようになってからノルウェー相手に勝利したことがない。

■マチュー・バルブエナの神出鬼没の活躍でフランスが快勝

 ノルウェー戦は3つの親善試合の中で、パリ近郊のスタッド・ド・フランスで行われる唯一の試合となる。試合の前々日の25日はクレールフォンテーヌでの練習を公開し、400人のファンが練習を見学した。そして5月27日の試合には7万5000人の観衆が集まった。このノルウェー戦も3月のオランダ戦に引き続き、親子チケットを販売し、280組の親子が観戦した。
 フランスはこの大ファンの前で、期待通りの試合を展開した。15分には左サイドからのマチュー・バルブエナからのクロスをポール・ポグバがヘディングでノルウェーのGKに競り勝ってゴール、幸先のよいスタートとなる。前半は1-0で折り返し、後半に入るとワールドカップ前の親善試合ということでメンバーを変える。デシャン監督はパトリス・エブラのバックアップに不安の残る左サイドバックのポジションにルーカス・ディーニュを投入、オランダ戦に続く2試合目の出場となる。フランスの2点目は51分のオリビエ・ジルー、バルブエナが左サイドからアシストする。そして67分にはアントワン・グリエズマンに代わって入ってきたばかりのロイック・レミーがゴール、また、69分には左サイドでディーニュからバルブエナにつなぎ、最後はジルーが得点する。バルブエナは4点のうち3点のアシストをしたが、すべて左サイドからのパスである。本来は右サイドのバルブエナがフランク・リベリーの不在の左サイドに回っての大活躍である。
 また、この日が4年前のノルウェー戦以来2試合目の代表戦となったステファン・ルフィエも無失点で乗り切り、ブラジル行き前のシリーズでフランスは好発進したのである。(続く)

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